〈ハンガリーの俊英たちⅥ〉
サバディ・イルディコ フルートリサイタル
2026年2月14日15:00 札幌コンサートホールKitara 小ホール
フルート/サバディ・イルディコ
ピアノ/荒川 浩毅 (第22回リスト音楽院セミナー審査員特別賞)
ロレンツォ:フランツ・リストの狂詩曲 第2番によるカデンツァ 作品37
ルクレール: フルート・ソナタ ト長調 作品9-7
モーツァルト:アンダンテ ハ長調 K.315
ライネッケ:フルート・ソナタ「ウンディーネ」作品167
ツィビン:コンサート・アレグロ第2番 変イ長調
バルトーク/ポール・アルマ編曲:ハンガリー農民組曲
ハンガリーの若手演奏家を紹介するシリーズ、今年はフルート。管楽器では2024年に登場したクラリネットのジョンボル・ダーニエル・エセニが圧倒的な印象を与えてくれたが、今回のイルディコも、バロックから現代まで幅広いレパートリーを繊細な表現力で紹介してくれた優れたフルーティストだ。
技巧的な華やかさよりは、作品の多彩な個性・特徴を聴かせることに主眼を置いているようで、誠実さを感じさせる演奏家だ。
ロレンツォのリストのハンガリー狂詩曲第2番によるフルート版カデンツァは初めて聴く作品。ロレンツォはイタリア出身でアメリカで活躍したフルーティストだそうで、おそらくアンコールピースとして作曲されたのだろう。冒頭からいきなり無伴奏での華やかな演奏で、聞き応えがあった。
ルクレールはオリジナルはヴァイオリンと通奏低音のための作品だが、語りかけるような柔軟で繊細な表現が印象的。
モーツァルトは、内向的でクラシックな雰囲気を漂わせ、外向的になり過ぎず、かといって地味過ぎず、じっくりと作品を味わいさせてくれた深みのある演奏だった。
ライネッケはフーケの文学作品「ウンディーネ」に触発されて書いたロマンティックなソナタ。ちょっと渋めで、中々音楽的に一筋縄では行かない作品のようだが、ここではピアノの荒川が表現力豊かな安定した演奏を披露し大活躍。フルートと一体になってファンタジー豊かな世界を聴かせてくれた。
後半は前半と雰囲気を一転、まず、ツィビンは外向的で華やかな作品で、これは申し分ない演奏。
最後に演奏されたバルトークは抜群の演奏。初めて聴く編曲だが、オリジナルのピアノソロが持つ色濃いローカリティーがなく、よりインターナショナルで色彩豊かな作品に聴こえてくる。バルトークの弟子のポール・アルマとフルートの名手、ランパルによって編曲されたそうで、両パートともに対等に、かつ雄弁に活躍する優れた編曲で、新鮮なバルトーク像を存分に楽しませてくれた。
全体を通じ、ピアノの荒川がよく考え抜かれた演奏でイルディコを見事にサポート、いい音色による好演で、こちらも今後の活躍が期待される。

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