第28回リスト音楽院セミナー 講師による特別コンサート
ミクローシュ・ペレーニ チェロリサイタル
2026年2月18日19:00 札幌コンサートホールKitara小ホール
チェロ/ミクローシュ・ペレーニ
ピアノ/バラージュ・レーティ
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第1番 ト長調 BWV1007
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ ニ短調 作品40
ミクローシュ・ペレーニ:チェロのための3つの小品
フランク:チェロ・ソナタ イ長調 M.8
2年ぶりの札幌公演。冒頭のバッハはペレーニならではの名演。以前と変わらず、恣意的な表現がなく力みのない自然体の演奏。川が源流から自然に大きな流れになるように、表情が変化し広がっていく。柔らかいボーイングとそこから生まれる落ち着いた音色がより奥行きの深さを感じさせ、こういうバッハは誰からも聴けるものではない。
ショスタコーヴィッチは、作品の持つ若々しい感性を生き生きと表現し、この当時のショスタコーヴィッチのロマン派への嗜好がよく反映された明るく伸びやかな演奏。
レーティのピアノが、歯切れよくエネルギッシュな感性を見事に表現、ペレーニとの万全なアンサンブルを構築して、新鮮な作品像を聴かせてくれた。
後半冒頭の無伴奏の自作は1980年代の作品に最近手を加えて補作したもの。当時の作曲界でよく見られた、何を目指すか試行錯誤し、混沌とした不安な時代観に影響を受けたようにも思える無調の作品だが、けっして無機質にならず、常に歌う旋律が中心に据えられているクラシックなスタイルであるのがいかにもペレーニらしい。そしてチェロの音色の美しさは格別で、おそらく今日最もチェロが美しく響いた作品ではないだろうか。
最後のフランクはもちろん原曲は有名なヴァイオリン・ソナタ。これも冒頭のバッハ同様自然体で、柔らかく暖かい音色での演奏。スケール感も充分で、この優れたバランス感覚はペレーニならでは。
レーティのピアノが、もっとバスを響かせても、という箇所もあったにせよ安定感のある多彩な表現と抜群の音量のコントロールで、ソリスティックになり過ぎず、ペレーニと一体となった見事なアンサンブルはさすが。
ペレーニの落ち着いたしなやかな感性による演奏は以前と変わらない。レーティとのデュオで、新しいレパートリーを聴かせてくれるようになり、今後がまた楽しみだ。




