びわ湖ホール プロデュースオペラ
トゥーランドット
2026年3月8日 14:00 びわ湖ホール大ホール
指揮:阪 哲朗(びわ湖ホール芸術監督)
演出:粟國 淳
振付:伊藤範子
装置:横田あつみ
照明:原中治美
衣裳:増田恵美
音響:小野隆浩(びわ湖ホール)
合唱指揮:大川修司
舞台監督:山田ゆか
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル他
管弦楽:京都市交響楽団
トゥーランドット:並河寿美
皇帝アルトゥム:林誠
ティムール:西田昂平
カラフ:福井 敬
リュー:船越亜弥
ピン:迎 肇聡
パン:福西 仁
ポン:奥本凱哉
役人:市川敏雅
トゥーランドットの登場シーンは、煌めく照明と古風な衣装で威厳あるシーンを創出し、支配者階級と民衆との違いを明確にするなど、細かい配慮があって観衆に親切、しっかりとした様式観があり、かつステージ全体を美しく見せるコツをつかまえた良質の演出だ。粟国らしい彼の特質が発揮された名演出と言ってもいいだろう。
最後、プッチーニが病で作曲の筆を折ったリューの死までで一旦舞台が閉じ、補作以降が場面転換され、照明で美しく演出されたシンプルな舞台となり、愛に目覚めたトゥーランドットとカラフのラブシーンが展開される。
全く別の作品が上演されているようで、これはなかなか気の利いた演出。プッチーニとの音楽的な落差を舞台で補っており、意外と気にならずに鑑賞できたのは、この視覚的効果によるもの。
歌手陣は、福井のカラフはやや絶叫調ではあったが、期待通りの名演。トゥーランドットの並河、リューの船越ともに申し分ない。ピン、パン、ポンの3人組が存在感があり、大活躍。さらに、全体を通じ合唱団が歯切れよくパワーもあり中々の好演。日本人スタッフによるほぼベストの公演だったと言えよう。
全体を隙なくまとめ上げた阪の指揮がとても充実していて聞き応えがあった。表現の多彩さは実に見事。切れ味が鋭く、躊躇なく思い切ってオーケストラを鳴らし、歌手陣をしっかりサポートというよりは完璧にリードし、手中におさめた名演だったといえよう。
特に拍手で音楽が中断されないようにアクティヴに舞台を進め、「誰も拍手をしてはならない」という雰囲気を作り上げていたのも良かった。
阪の指揮によるトゥーランドットは2020年10月に山形県総合文化芸術館オープニング事業として山形のやまぎん県民ホールでの公演を、びわ湖ホールでは2019年7月に東京五輪公認プログラムとして大野和士の指揮でびわ湖ホール、新国立劇場、東京文化会館、札幌文化芸術劇場の提携オペラ公演を観て以来で、いずれの公演も強く印象に残る内容。
山形での阪の指揮も良かったが(この時もカラフは福井だった)、今回は本拠地でいつもの京都市交響楽団ということもあって、さらに磨き抜かれた高水準の公演だったと言えよう。