森の響フレンド札響名曲シリーズ
〜鉄路は続くよ、どこまでも
続・オーケストラで出発進行!
2024年9月 7日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮 /秋山 和慶
お話と朗読 /市川 紗椰
歌 / ベイビーブー
お話と構成 /岩野 裕一
J.シュトラウスII:ポルカ「特急」
バーンスタイン:地下鉄乗車と空想のコニー・アイランド
(オン・ザ・タウンより)、
デンツァ:フニクリ・フニクラ
多梅稚:「鉄道唱歌」より
アメリカ民謡:線路は続くよどこまでも
都志見隆(詞:松井五郎):列車にのろうよ
E.シュトラウスⅠ:ポルカ「テープは切られた」
ドヴォルジャーク:弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」第4楽章(弦楽合奏版)
ブリテン(詞:W.H.オーデン):夜行郵便列車
R.シュトラウス:交響的幻想曲「イタリアから」第4楽章「ナポリ人の生活」
秋山の指揮による札響を聴くのは久しぶりだ。1941年生まれだからもう80歳を越えている。1988年から98年まで札響の首席指揮者を務め、97年7月4日の札幌コンサートホールKitaraの柿落としコンサートを振っている。このホールで最初に登場した指揮者だ。もう27年も前のことだが、派手な表現は求めず静かに作品を見つめながら、その本質を探っていく、という指揮ぶりは鮮明に記憶している。今日の指揮ぶりも、年齢を重ねてはいるが、当時と変わらず貫禄充分だ。
興味深かったのは、ブリテンが著名になる前に作曲した朗読付きの記録映画音楽、「夜行郵便列車」。当日配布プログラム解説によると、詞はW.H.オーデン、朗読付きの5分弱の作品で 1936年にイギリスの中央郵便局映画班の作成したドキュメンタリー短編映画。YouTubeでも見ることが出来る。
ということで、短い作品だが、当時23歳だった若きブリテンがこのような仕事もしていたのだ、と認識を新たにした次第。詩の原語と対訳が配布されていて、これはありがたかった。年配の鉄道ファンには郷愁を誘う美しい詩だ。朗読はもちろん英語で市川紗椰。軽快なリズム感のある透き通った声で、発音も明瞭、なかなか素敵だった。
ドヴォルジャークの「アメリカ」弦楽合奏版は初めて聴いたが、秋山の指揮は、小細工はせずに、冷静な音楽造り。巨大なアメリカの蒸気機関車、ビックボーイが走行する姿を想像させ、聞き応えがあった。
R.シュトラウスは若き日の作品で、「フニクリ・フニクラ」の主題による幻想曲とでも言っていいほどだが、後世の名作のエッセンスがあちこちに含まれており、秋山の落ち着いた重厚な指揮ぶりが作品の価値をより高めていたようだ。
歌の男性5人グループ、ベイビーブーが昔懐かしい男性コーラスグループを彷彿とさせる均整感ある歌唱で、鉄道関連の歌を披露して楽しませてくれた。PAを使用しての歌唱で、美声で音程、ハーモニーがきれい。表現力豊かないいグループだった。
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