札幌交響楽団第647回定期演奏会
2022年9月10日 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮/オッコ・カム
ヴァイオリン/三浦 文彰
シベリウス:交響詩「大洋女神」
ヴァイオリン協奏曲
レンミンカイネン組曲(カレワラより四つの伝説曲)
オールシベリウスプログラム。後半のレンミンカイネン組曲が良かった。滅多に演奏されない作品で、札響でも全曲演奏は過去三回しかなく、定期では二回だけだそうだ(当日配布プログラムより)。
今日の第1日目の演奏を聴く限り、カムの指揮は、作品に込められた物語性を殊更強調するわけでもなく、当然、大袈裟な表現もない。この指揮者ならではの,特に何か特徴的な表現や豊かな響きをオーケストラから引き出す、ということもない。音楽の自然な流れに身を任せながら、作品そのものの姿を忠実に示していくのが基本のようだ。
作品自体も物語の内容を都度説明するものではなく、比較的客観的に描いているのが特徴のようなので、この様な解釈はこの作品に最も相応しいのかもしれない。
一方で、オーケストラそのものの実力が問われることにもなり、中々厳しい指揮者なのかもしれない。
その点、この組曲での札響は素晴らしかった。北欧のシベリウスがイメージした響きを、北欧出身の指揮者カムが同じ北国の札響から引き出し、それぞれの思惑が見事に一致した美しさと言えばいいのだろうか。細部まで気配りがされ、繊細で美しく調和したアンサンブルが印象的で、特に今日は管楽器グループが万全の仕上がりだった。組曲の中では、3曲目に演奏された有名な「トゥオネラの白鳥」が秀演。
コンチェルトは、三浦のソロが暖かい音色とよく歌込んだ多彩な表現で魅力的な演奏。もちろん、技巧的にも申し分ない。ただ、なぜか、カムの指揮が素気なく棒読み風で、特に第2楽章の、ソロと管楽器の対話がまとまりきらず、作品の素晴らしさが伝わってこなかったのが残念。第3楽章はやや焦点が定まらない、不燃焼気味の指揮。今日はオケもソリストも好調だっただけに、ちょっと心残りな指揮だったのが惜しまれる。
冒頭の交響詩「大洋女神」は、いい響き、いい表情が次第に伝わって来て、これから期待できそうだ、と思っているうちに終了してしまい、これも作品の素晴らしさが伝わりきらず,残念だった。
今日は、プログラム前半が、何かうまく流れない日だったようだ。2日目はどうだったのだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。