森の響フレンド札幌交響楽団名曲コンサート
~ブラームスとポンマー
2025年9月13日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮 /マックス・ポンマー
管弦楽/札幌交響楽団
C.P.E. バッハ:シンフォニア ニ長調 Wq.183/1
ヘンデル :「水上の音楽」組曲第2番
ブラームス:交響曲第2番
ポンマー89歳。前回来札は2023年8月。足元が多少おぼつかないものの、プレトークではいつ話し終わるのかと心配させるほど元気な様子を披露、果たして指揮でも年齢を全く感じさせないスケール感ある指揮ぶりで聴衆を安心させた。
ヘンデルは、これぞバロックと思わせるいかにもヘンデルらしい荘厳さと明晰がある演奏。絶妙なテンポ感と柔軟な感覚が醸し出す全体的雰囲気は日本人指揮者からは聴けない心地良さがある。長年の豊富なキャリアを感じさせ、小編成による歯切れ良さがありながらも、硬さはなくとても聴きやすい、いい演奏だった。
ブラームスは、アーティキュレーションをクリアに指示し輪郭を明確にしながら、ふくよかに歌い柔和な感覚で全体をまとめ上げた名演。この明快にして柔軟な感覚はポンマーならでは。こういうヨーロッパナイズされた懐の深い演奏は、なかなか聴く機会がない。単に年齢を重ねたベテランだから、と言うことではなく、ありふれた言い方だが、ヨーロッパでの長い歴史と伝統を会得した、感性豊かな指揮者ならではの音楽性が滲み出ている。
これに対して、オーケストラの反応は今ひとつのところがあり、特に前半では管楽器セクションにやや不調な様子が見えたのは惜しい。こういう指揮にしっかりと応えて、万全な演奏を聴かせてくれると聴衆としてはとても嬉しいのだが。
と思っていたら、アンコールに第3楽章をもう一度演奏、これがすっきりと力が抜けたとてもまろやかで素敵な演奏。あらためてこのオーケストラの良さに感心した次第。こういう演奏を本番でも聴かせて欲しかった。
ポンマーは後半になればなるほど次第に元気になってきたようで、是非またの来札を期待したい。
この9月からフルートの首席に就任したクリス・ウォンはピッチ、音色がきれいで、アンサンブル感覚も申し分ないとてもいい奏者。札響を聴く楽しみがひとつ増えたが、試行期間からずっと聴いてきた印象を言うと、やや音がオーケストラ内にこもりがちで聴衆にメッセージがよく伝わって来ないときがある。まだ遠慮しているのかもしれないが、もっとソリスティックに演奏してもいいのでは。これからの活躍に期待しよう。
コンサートマスターはポンマーを陰からしっかりと支えていた会田莉凡。
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