ガーボル・ファルカシュ ピアノリサイタル
2024年2月22日19:00 札幌コンサートホールKitara小ホール
ピアノ/ガーボル・ファルカシュ
J.S.バッハ/ペトリ編曲:カンタータ BWV208より
アリア「羊は安らかに草を食み」
シューベルト:ピアノ・ソナタ 第13番 イ長調 D.664
リスト:ウィーンの夜会(シューベルトによる「ワルツ・カプリス」)S.427
より 第7番
グリュンフェルト :《ウィーンの夜会》ヨハン・シュトラウスのワルツ主題
による演奏会用パラフレーズ 作品56
シューマン:アラベスク ハ長調 作品18
謝肉祭 作品9
ファルカシュは現在リスト音楽院ピアノ科主任教授。2019年から札幌コンサートホール主催のリスト音楽院セミナーに講師として参加、今年が5回目。その間、コロナ禍で演奏会が中止になり、今回がKitaraでの初リサイタルとなった。
ファルカシュはピアノの表現能力を極限まで追求した華やかな作品を演奏して、その演奏芸術の素晴らしさを紹介する技巧派タイプの演奏家だ。
古今の名ピアニストが若い頃は皆このタイプだったように、ちょうどファルカシュも今その時期にいるようだ。
バッハは立体感ある多声部の表現が、シューベルトでは明確な構成感がそれぞれ印象に残ったが、楽器の響きがまだホールに馴染まず、今ひとつ調子に乗り切れなかったのが惜しい。
次のリストからは、よく歌い込んだ深みのあるいい響きが聴こえてきて、ファルカシュの本領発揮。リスト独特の、ピアノを声楽家の如く歌わせる書法が如何に独創的な技法であるかを、如実に示してくれた演奏だ。
グリュンフェルトは、理屈抜きに聴衆を楽しませるエンターテインメント用の作品。軽やかで躍動感のある表情がなかなか素敵で、ウィンナワルツに夢中になる当時の人々の楽しげな様子が目に浮かぶようだ。華麗なパッセージも雑にならず音楽的に美しく表現していて、全体をスケール大きく見事にまとめ上げていた名演。
後半のシューマンでは、謝肉祭が圧巻の仕上がり。よく弾き込んでいるようで、技術的にとても安定しており、楽器が良く響いていた。
個々の小品の性格を詳細に描くよりは、一気呵成に弾ききって全体を大きくまとめ上げて、作品のスケール感を醸し出す解釈のようだ。実際の謝肉祭を彷彿とさせる華やかさ、賑やかさがあって、楽しめた演奏だった。
今回はリストのオリジナル作品が無かったのが残念。次回に期待しよう。
アンコールが2曲、はじめにファルカシュ編曲のショパンの小犬のワルツ。これは、リストがこのようにアンコールで弾いて、聴衆を夢中にさせたのだろうな、と思わせる華麗な編曲と演奏。技術的にかなり難易度の高い編曲で、文句なしに素晴らしかった。最後にショパン/リスト編曲:6つのポーランドの歌より 第2曲 「春」。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。