Kitaraのクリスマス
〜道義のラストクリスマス〜
2023年12月23日15:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮 /井上 道義
振付・ダンス /森山 開次
管弦楽/札幌交響楽団
シャブリエ:狂詩曲「スペイン」
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」より第2組曲
ストラヴィンスキー: サーカス・ポルカ
ストラヴィンスキー: バレエ音楽「火の鳥」(1919年版)
アンダーソン:クリスマス・フェスティバル
引退を表明している井上道義の最後のKitaraのクリスマス。過去Kitaraのクリスマスには2007年から5年連続で、その後は16年、18年、そして今回の23年と登場し、多種多彩なプログラムで聴衆を楽しませてくれた。
特に印象深いクリスマスは、初回の2007年。
話題となったショスタコーヴィッチ交響曲全曲演奏会を終えての来札で、まだその余韻が残っており、ショスタコーヴィッチの「ジャズ組曲」や「チャイコフスキー三大バレエよくばり版 井上道義セレクション」を気合の入った指揮で聴かせてくれた。
井上のKitara主催事業初登場は開館の翌年、1998年3月29日のKitara札響シリーズVol.4 「親子で楽しむオーケストラ」。その他では、2000年の「Kitaraのこどもの日コンサート」、04年2月14日の「バレンタインコンサート」にも出演している。
多彩な才能の持ち主だけに、98年には青島広志氏と共に「動物の謝肉祭」のピアノ演奏を披露。04年はマーラー交響曲 第5番 から「アダージェット」、ラヴェルの「ボレロ」などを指揮、サン=サーンスの「白鳥」の伴奏ピアノも弾くなど、大活躍だった。
井上の誕生日が12月23日ということもあって、今年は何歳になりました、などといつも楽しいお話しを挟みながらの指揮だった。
今回はダンスに関する作品がテーマ。
前半のシャブリエ、ファリャは札響のレパートリーでは比較的珍しいジャンルだ。札響サウンドとは合わないようにな気がしていたが、それは杞憂で、これが実に華やかで素晴らしい演奏。弦楽器も管楽器も明るい音色で、キレもよく、いかにも舞踊音楽だという雰囲気がでていて気持ちの良い演奏。これはもちろん井上の若々しさを感じさせる颯爽としたリズミカルな指揮のおかげだが、札響の隠れた優れた応用力を再発見出来て楽しかった。
後半はストラヴィンスキー。「サーカス•ポルカ」を井上はお話しの中で散々けなしていたが、こういう点をはっきりと話してくれるのも彼らしい。
続く「火の鳥」で森山のダンスが登場。ステージ中央奥の扉から登場、即興的とも思える柔軟で表現力豊かなダンスを披露してくれた。ジャンプなど上下の動きが少なかったのが残念だが、これはリノリウムなしの硬いステージ上で演技をするので仕方のないところか。
演奏はダンスに配慮したテンポなのだろうか、全体的にやや遅め。アンサンブルは煮詰まっておらずやや大雑把な感じを受けたが、ダンスと共に味わうことを思えば、さほど気にはならないレベルか。
続くアンダーソンとアンコールの「きよしこの夜」は定番メニュー。
カーテンコールが少なく、最後のクリスマスとしては残念。ただ、あとで彼のブログを読むと「今回は井上は坐骨神経痛にもかかわらずマイナス6度のススキ野に過去のノスタルジーで繰り出し、ハハハ,風邪ひいてしまった。あほジジイ。」と書いてあって、体調不良だったらしい。
コンサートマスターは田島高宏。
今回は最後のクリスマスだったが、来たる5月の札響定期に登場予定。これが本当の最後のKitara公演となる。札響との関わりについては、この時に紹介しよう。
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