札幌交響楽団第664回定期演奏会
2024年 10月20日13:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮 /上岡 敏之
ソプラノ /盛田 麻央
メゾソプラノ /清水 華澄
テノール /鈴木 准
バリトン /青山 貴
合唱 /札響合唱団、札幌放送合唱団、新アカデミー合唱団
(合唱指揮:長内勲、大嶋恵人、中原聡章)
ブルックナー:交響曲第9番
ブルックナー:テ・デウム
上岡は札響初登場。首都圏での活躍ぶりはよく知られているが、聴くのは今回が初めて。
ブルックナー最後の交響曲だから、ということもあったのかもしれないが、他の指揮者からはなかなか聴けない解釈だ。
オーケストラは上岡の要求に見事に答え、とてもいい音がしていた。特に、美しい響きのホルングループとたっぷりと歌い込んだコンサートマスターの会田のソロが格別。
ただ、全体を通して聴いてみると、全3楽章トータルの今日の演奏時間は1時間を少し超える程度だから決して遅くはないのだが、細部が積み重なって大きな一つの建造物として眼前に現れてくる、という何か一本筋の通ったスケール感があまり感じられなかったのが惜しい。
しかしながら、この頃は終楽章をやたらと盛り上げ喝采だけを求めるような演奏が多い中、今回のように細部を丁寧に仕上げ深く掘り下げた演奏は滅多に聴けないだけに、とても印象に残った貴重な機会だった。
第3楽章終了後、合唱団とソリストが登場して、中断することなく「テ・デウム」を演奏。これも周到に仕上げられ、全体がよく整ったバランスのいい演奏。
ソリストが歌う時に、オーケストラの響きをかなり大胆に落とすところなどちょっと不自然さを感じさせはしたが、全体的にはとても表情豊か。
ソリストはステージ奥で、合唱団はP席で歌い、客席には必ずしも充分の音量で響いていたわけではないが、上岡はおそらくこの作品では、明晰さよりも教会のような豊かな響きの中での演奏をイメージしたのではないかと思われる。ここのホールの響きをよく生かした教会トーンの雰囲気があって、なかなか聞き応えがあった。合唱団の歌詞はよく聞き取れない箇所が多かったが、定番の歌詞なのであまり気にはならなかった。
当日配布プログラム解説(今回は東条碩夫氏)にも書かれていたが、交響曲第9番と「テ・デウム」を通して聴いてみても、作曲技法や性格が全く異なり、これらを一緒に演奏する必然性はあまり感じられないし、何か特に関連性があるわけでもなさそうだ。
話題は変わるが、9月中旬に札幌で予定されていた上岡のピアノリサイタルが腕の故障で中止となった。指揮者活動をしながらピアノリサイタルを開催するエネルギーと、リストとベートーヴェンというかなりヘビーなプログラムで期待していたが残念。今日の指揮を聴いて、ピアノではどのような演奏を披露するのか、ますます聴きたくなった。もちろん指揮者としての再演もいつの日にか実現をしてほしい。
コンサートマスターは会田莉凡。
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