2026/03/29


 ジャン・ロンドー チェンバロリサイタル

~オール・バッハ・プログラム~

2026年3月26日19:00 王子ホール


チェンバロ:ジャン・ロンドー


J.S.バッハ
 プレリュード リュート組曲ハ短調 BWV997より
 パルティータ第2番ハ短調 BWV826
 パルティータ第4番ニ長調 BWV828
 シャコンヌ 無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調

                           BWV1004より


 冒頭、ルイ・クープラン風の即興演奏で始まり、17世紀から18世紀前半のバッハの時代へ。昨日のルイ・クープランリサイタルを聴いた者だけにわかる世界で、これは唸らせた瞬間。

 また昨日の極上のチェンバロの音色を聞いた後で、今日のミートケ・モデル(ヤン・カルスベック2000年、ジャーマン・モデル)の楽器がどうか、これも楽しみの一つだったがホール全体に響きわたり、とても魅力的。おそらくロンドー以外からは聴けない音色で、彼がエクセレントなチェンバロ奏者であることが認識できた瞬間でもある。


 さて、いつものように照明を落としほぼ暗闇の中での儀式が開始。今日のバッハ、まず冒頭にロンドー編曲によるリュート組曲。明らかに前夜のルイ・クープランの世界との橋渡しを意味していると思われる。連続する16分音符の流れを柔軟なアゴーギクとテンポの微妙な変化でニュアンス豊かに表現、魅力的な演奏。


 パルティータ第2番は意外にちょっと弾きにくそうにしていて、音を飛ばしたり、と彼には珍しく不調なところがあったようだ。基本的にあまりテンポが揺れず、端正な演奏。即興的走句はサラバンド、カプリッチョで聴こえてきたが、昨日のルイ・クープランほど多彩ではなく、全体的には常識的な演奏。


 第4番がいい演奏だった。序曲でゴージャスな雰囲気を、アルマンド、クーラントでは音量豊かに(おそらく8‘+8”)自由闊達な世界を聴かせてくれ、最後のジークなどは意外にも下鍵盤だけで楽譜通りのシンプルな演奏。そのまま息をつかずシャコンヌを弾き始め、聴衆に考える時間を与えてくれない。


 シャコンヌはロンドーによる編曲版で、これは今即興演奏しながら創造されているような演奏。豊かな響きと伸びやかな感性、次々と展開される多彩な表情での変奏に、まるでバッハ自身が弾いているかのような錯覚を受ける。基本的に下鍵盤の弦一本で演奏している場合が多かったように聴こえ、その楽器を響かせる抜群の才能に感心。豊かな響きと変奏による表情や音色の違いが鮮やかに伝わってきた秀演。


 前日のルイ・クープランとは違って、パルティータは楷書体の演奏、シャコンヌでは楷書体と草書体の両面の姿を見せ、バッハの多様性を示してくれた。楽器は、今日のミートケ・モデルもかなり個性的だが、昨日の初期フレンチの印象が強烈だったためか、今日の方がより汎用性のありそうな楽器に聴こえてきてたのは私だけか。


 アンコールに変ホ長調のフランス組曲から「アルマンド」、フランソワ・クープランの「神秘的なバリケード」。休憩なしの約80分のプログラム。

 最後のクープランは聴衆へのサービスか。あまり今日のプログラムとは関連性がないようにも思えた。

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