第26代札幌コンサートホール専属オルガニスト
赤枝 サンテソン 留果
フェアウェルオルガンリサイタル
2026年8月22日 札幌コンサートホールKitara大ホール
J.S.バッハ:前奏曲とフーガ ハ長調 BWV566a
さまざまな手法による6つのコラールより
わが魂は主をたたう BWV648
M.ヴェックマン:第2旋法によるマニフィカト
J.S.バッハ:さまざまな手法による18のライプツィヒ・コラール集より
おお愛する魂よ、汝を飾れ BWV654
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
ヴィエルヌ:オルガン交響曲 第2番 ホ短調 作品20より
第1楽章 アレグロ、第2楽章 コラール、第4楽章 カンタービレ
フランク:オルガンのための6つの小品より 第5曲 祈り 嬰ハ短調 作品20
アラン:連祷 AWV100
このオルガニスト、ともかく音が綺麗。しかもオルガンでこれだけ感性豊かに歌い込んだ演奏を聴くのは久しぶり。特にレガートの美しさは歴代専属オルガニストの中でも群を抜いているのでは。
そのほかにも、一つずつの音がきちんと鍵盤の底まで弾き込まれ、すっきりと抜けてくる確実で明確な響き、根音がしっかりとしたまとまりのあるハーモニーの響き、そしてゆったりとしたテンポでも決して停滞することのない良質のテンポ感とリズム感など、彼の演奏を通じて、久しぶりにKitaraオルガンの透明感ある美しい音色と響きを味わうことが出来た。
レガートの美しさでは、バッハの「おお愛する魂よ、汝を飾れ 」。息が長く途切れることなく歌い続けられるコラール旋律が素晴らしく、装飾音など含め全体的に滑らかで柔らかい表情が実に素敵だった。
パッサカリアは今年のPMFガラコンサート(7月26日)でも弾いていたが、今日は細部まで気配りされた演奏で、音型のディテールの変化が手に取るように分かり、一貫したテンポの中で停滞することなく次々と変容していくバッハの凄みを感じさせた秀演だった。
そのほかのバッハも良かったが、ヴェックマンのレジストレーションによる表情の変化が素晴らしく、何よりも響きが明瞭で雲ひとつない晴天のような音が心地よかった。
後半はフランスの作品集。ドイツの作風、雰囲気とはガラリと変わり、特にバッハで聴かせた明晰さとはまた違った、しなやかでまろやかな響きが印象的。
ヴィエルネの、オルガンシンフォニーならではの分厚くスケール感ある表情の豊かさが見事。ここでは厚い和声が濁ることなく表現されていて聞き応えがあった。
フランクはとてもよく歌い込まれ、Kitaraオルガンの洗練された音色の美しさとホールの優れた音響効果とが一体となった素敵な演奏だった。Kitaraでなければ決して聴くことのできない良質の響きだ。
アランの「連祷」は歴代専属が好んで演奏する名作だが、今日の演奏はバッハ同様細部まで入念に仕上げられており、全体的な響きに埋没しがちな細やかな音型が手に取るように聴こえてきて、楽曲の構造がクリアにされており、今までのアラン演奏とはまた違った魅力が感じられてとても面白かった。
ドイツとフランスの名作を演奏し、これだけ異なる性格の作品を過不足なく優れたバランスで演奏できるオルガニストは貴重。まだ二十代半ばのようだが、今日のような誠実で丁寧な演奏を忘れることなく、優れた音楽家として大成することを期待したい。
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