札幌交響楽団新•定期演奏会
hitaruシリーズ第8回
2022年2月17日19時開演 札幌文化芸術劇場hitaru
指揮:松本宗利音(札響指揮者)
ホルン:山田 圭祐(札響首席ホルン奏者)
モーツァルト:ホルン協奏曲第4番
ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』
このたび、当団の楽団員1名に新型コロナウイルス感染者が確認されました。そのため、その楽団員を療養させるとともに、濃厚接触者にあたる楽団員については、自宅待機といたしました。予定された曲目を演奏するために演奏者の補充に努めましたが、この演奏会の中で1番編成の大きな、藤倉大作曲「グローリアス・クラウズ」の演奏を断念せざるを得なくなりました。
藤倉氏の作品の演奏を楽しみにされていたお客様、そしてこの演奏会に多大なご期待をお寄せいただいた藤倉氏には誠に申し訳ございませんが、下記のとおり開催をさせていただきます。
(主催者発表)
モーツァルトのソロを演奏した山田のホルンは端正な演奏スタイル。ピッチが正確で、音色がきれい。いかにもモーツァルトらしい落ち着いた雰囲気があり、音が劇場内に真っ直ぐ届いてきて、気持ちがいい。この楽器の魅力を申し分なく伝えてくれた。
オーケストラは小編成で、ホルンとのアンサンブルは問題なく、よくまとまっていたいい演奏だった。ただ、表現はヴィブラートが多めのロマン派嗜好。もう少しすっきりとディテールを明確に演奏した方が、ホルンとの相性がもっと良くなったのではと思う。ホルンの音色とやや違和感があったのが惜しまれる。
ベートーヴェンは久しぶりに聴いたダイナミックでしっかりした演奏。これだけ充実した響きを引き出す指揮者はそういないだろう。音質もいいし、枠組みもきちんと整っていて聴きやすい。スケール感ある充実した響きで、申し分ない。
第一楽章は、まだ劇場の響きと調和せず、やや硬めの演奏だったが、第二楽章の「葬送行進曲」の中間部の第二ヴァイオリンから始まるフガート(114小節から)の各パートの堂々した歩みが提示される箇所から、指揮者の目指す音楽がようやくはっきりと見えてきた。オーケストラの響きが劇場と調和し始め、音がすっきりと劇場内に透るようになってきたように思える。
第3楽章、第4楽章も一気呵成のスケール感溢れる熱演。指揮者の松本は今年3月末で札響指揮者任期満了。本人にとっても思い入れのある演奏会だったのだろう。
欲を言えば、やや一本調子だったのが残念。全体的にディナーミクの幅が狭く、例えば第2楽章の冒頭はピアニシッモと指定してあるが、聴こえてきた響きは明らかにもっと大きい。第3楽章の冒頭もピアニシッモでしかもスタッカートの指定だが、そうは聴こえてこない。
もっと緻密な表現へのこだわりや、ベートーヴェンらしいスフォルツァンドの決め方、拍子の明確さなどがあると、さらに充実した内容になったと思う。元来、素質豊かな指揮者なので、今後の活躍が大いに楽しみだ。
ここの劇場は基本的にコンサート専用ではないので、Kitaraと同じ感覚で演奏すると上手くいかないだろう。今日の配置だと、弦楽器の響きが硬く、木管楽器がこもり気味。低音楽器、ティンパニーの響きがステージ上からすっきり客席に抜けてこない。聴衆にとっては選択した席によって響きの違いが大きい。安定したいい響きが得られる為には、工夫と時間がもう少し必要だ。
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