〈Kitaraあ・ら・かると〉
きがるにオーケストラ
2023年5月3日15:00 札幌コンサートホールKitara 大ホール
指揮・チェンバロ・お話/鈴木 優人
ソプラノ/中江 早希
オルガン/吉村 怜子
管弦楽/札幌交響楽団
共演/札幌日本大学高等学校吹奏楽部 金管セクション
ビゼー:歌劇「カルメン」より第1幕への前奏曲
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」より
王女たちのロンド、カスチェイ王の凶暴な踊り
デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」
モーツァルト:歌劇「魔笛」K.620より
夜の女王のアリア「復讐の心は地獄のようにわが胸に燃え」
サン=サーンス:交響曲 第3番 ハ短調「オルガン付き」 作品78より
第2楽章より
三善 晃:札幌コンサートホール開館記念ファンファーレ
~23の金管のための
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」より第2番ト短調「夏」
アンダーソン:タイプライター
チェイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調より
第3楽章、第4楽章
鈴木優人はこの1月にもKitaraのニューイヤーコンサート(1月14日)に出演、札幌のファンにもすっかり顔馴染みになった。
コロナ禍で、3年間延期になっていたプログラム。オムニパス風のプログラムだが、曲目の選択が面白く、バロックから現代まで多種多様の作品が次々登場して飽きない。
きがるにオーケストラのタイトルにふさわしく、どの作品もアクティブで生き生きとしたノリのいい指揮ぶり。チェンバロも演奏し、お話しも楽しく、大活躍だ。子供達はもちろん、大人が聴いても楽しい演奏会だった。
三善晃の開館記念ファンファーレは、文字通り1997年のKitara開館時に大ホールで初めて公式演奏された作品。このオリジナルの編成では,前回は2007年7月4日、開館10周年記念演奏会で再演(尾高忠明の指揮、札響とPMF オーケストラ・ブラスセクション)されているので、16年ぶりの演奏。
今回は札響と札幌日本大学高等学校吹奏楽部 金管セクションが共演。演奏者がステージ上と、2階席左右に客席を囲むように配置され音響効果もあり、広がりのある響きで、中々の力演。やはり名品だ。
三善晃の指示では、オルガン前にホルン3名が配置されるはずだが、今日は反対側2階客席正面に配置。個人的にはオルガン席に配置された方がホール全体に響きが届くとは思うが、これは指揮者の考え方だったのだろう。
なお、三善晃は1972年に開催された札幌オリンピックのファンファーレを手がけたことがあり、その縁があっての作曲。
今日のコンサートマスターは田島高宏。ヴィヴァルディのソロを演奏、これが素晴らしかった。演奏前に鈴木優人がスコアに記載されたソネットの内容を説明。イタリアの暑苦しく辛い夏の様子が繊細にかつ鮮やかに表現されており、これは出色の出来。
サン=サーンスでは、吉村怜子のオルガンソロが引き締まった音色で存在感を感じさせ、この作品の醍醐味を存分に伝えてくれた。欲を言えば、オーケストラの色彩感がもう少しあれば、とも思われたが、全体的に好演。
最後のチャイコフスキーは札響の実力を示してくれた力演。ただ、今日は12型編成だったので、弦楽器の響きが管楽器に押され気味だったのが惜しい。この作品に限らず、今日のようなプログラムであれば、14型で,厚みのある弦の響きを聴きたかったところ。
その他に、ストラヴィンスキーと演出効果満点のアンダーソン、中江の貫禄充分の歌唱によるモーツアルトの夜の女王のアリア。
アンコールにオッフェンバックの喜歌劇「天国と地獄」序曲より。札幌日本大学高等学校吹奏楽部と中江がステージに登場し、ダンスを披露しながらの演奏。これはサービス満点の素敵なアンコールだった。
鈴木優人がトークで話していたとおり、演奏する方は多種多様の作品が並び、気軽ではなかったようだ。とは言え、指揮者とオーケストラ、各ソリストの獅子奮迅の大活躍があって、連休期間中にふさわしいとてもいい演奏会だった。
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