PMFオーケストラ演奏会
2023年7月15日17:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮/クシシュトフ・ウルバンスキ
ピアノ/ヤン・リシエツキ
管弦楽/PMFヨーロッパ、PMFオーケストラ
バーンスタイン:「キャンディード」序曲
グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 作品16
ショスタコーヴィチ:交響曲 第5番 ニ短調 作品47
バーンスタインは12日のオープニング・ナイトでも演奏。挨拶がわりの元気いっぱいの演奏だったが、それと比べると、今日の演奏はいい意味で緊張感のある、よそ行きでフォーマルなスタイル。かなり整っていて、破綻のない落ち着いたプロフェッショナルな演奏だったが、個人的には前回のようなアクティヴな演奏の方が楽しかった。
グリークのソロを弾いたリシエツキはスケールの大きなピアニスト。落ち着いたテンポで、堂々とした演奏だ。よく歌えており、音色も美しく、楽器もよく響いて技術的には全く問題がない。グリークの繊細で涼しげな北欧らしい雰囲気もよく表現されており、秀演。
オーケストラは最初こそ流れに乗り切れないもどかしさがあったが、指揮者の好リードもあって、ソロと一体となった好演を聴かせてくれた。まとまりのある充実した響きがしていて、なかなかよかった。
後半はショスタコーヴィッチ。ウルバンスキのこの作品に込める思いと解釈はPMFのHPに掲載されているが、それが概ねよく表現されていたのではないか。初演は1937年で、もう90年近く前になり、すでに古典と言ってもいい作品だ。しかし、未だに強くアピールする力があるのは、この作品に込められた作曲者の不屈のエネルギーのためか、あるいはひょっとして現在の時代背景が当時とさほど変わらないためなのか。
オーケストラはベルリンフィル、ウィーンフィルの教授陣がほぼ全員加わっての演奏。コンサートマスターはライナー・キュッヘル。
そのためか、オーケストラはとても安定しており、音程、ピッチ、全体的響きのまとまり、などは申し分ない。なかなか聴くことのできない完成度の高い見事なプロフェッショナルの演奏だ。微に入り細に入り丁寧にまとめ上げたウルバンスキの見事な手腕に拍手。
フルート、オーボエ、ヴァイオリンなどのソロはベルリンとウィーンの教授陣が担当しており、これは上手くて当然。この仕組みは毎年恒例で、まずは素晴らしいお手本を参照してください、ということなのだろう。
今年のアカデミー生はかなりの高水準と思われ、もっと彼らの活躍する場面を聴きたかったが、それは音楽祭後半に期待することにしよう。
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