PMF2023 オープニング・ナイト
2023年7月12日18:30 札幌コンサートホール Kitara大ホール
バーンスタイン:「キャンディード」序曲
クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)
PMFベルリン(ベルリンフィルハーモニー管弦楽団メンバー)
PMFオーケストラ
オンスロウ:弦楽五重奏曲 第30番 ホ短調 作品74 から
I. Allegro grandioso
PMFウィーン(ウィーンフィルハーモニー管弦楽団メンバー)
ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン I)
ダニエル・フロシャウアー(ヴァイオリン II)
ハインツ・コル(ヴィオラ)
エディソン・パシュコ(チェロ)
ミヒャエル・ブラーデラー(コントラバス)
モーツァルト(シェーファー編):歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」
序曲 K. 588
PMFベルリン
アンドレアス・ブラウ(フルート)
アンドレアス・ヴィッドマン(オーボエ)
アレクサンダー・バーダー(クラリネット)
シュテファン・シュヴァイゲルト(ファゴット)
サラ・ウィリス(ホルン)
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」
クシシュトフ・ウルバンスキ(指揮)
PMFウィーン
PMFオーケストラ
今年から新たに始まったオープニングナイト。小一時間の演奏プログラムで、司会者付き。曲間、ステージ転換の時間を利用して、主催者挨拶、今年のアカデミー生(演奏者)紹介などが行われ、半分セレモニー的な要素を持った演奏会だ。プログラムはアカデミー生によるオーケストラ演奏が2曲と教授陣による小編成アンサンブルが2曲。
冒頭のバーンスタインは、PMF創設者の故バーンスタインに敬意を表して、アカデミー生からの挨拶がわりの演奏。ともかく元気いっぱいで、一瞬たりとも停滞する事なく、明るく生命力に満ちた演奏。すっきりとして見通しがよく、音楽的にも素敵な仕上がりだ。これは今この時にしか聴くことのできない、湧き上がるような高揚感に満ちた音楽祭開幕にふさわしい演奏。指揮者のウルバンスキの統率力が見事だった。
続いて、主催者の札幌市長の挨拶とアカデミー生の紹介があったのち、PMF教授陣の紹介を兼ねたコンサート。
まず、PMFウィーンによるオンスロウの弦楽五重奏から。全曲は16日に演奏されるので、その予告編だ。
初めて聴く作品だが、ほの暗さの中に深いロマン性と独創的な和声などが感じられ、当時としては革新的な要素も含まれた佳品のようだ。細部まで考えられた優れたバランス感覚と一貫した音色の美しさ、節度ある表現などはこのメンバーならではのもの。短い時間ではあったが、彼らの優れた音楽性を感じさせた演奏だった。
続いてPMFベルリンによるモーツァルトの序曲。管楽器の名手達による見事な名演。楽々演奏していたようだが、かなり高度なテクニックを要求される編曲だ。ほとんど乱れがなく、かつ音楽的にも均整のとれたまとまりある素晴らしい演奏。14日の大ホールの演奏会でも演奏される。
最後は再びオーケストラで、チャイコフスキー。音楽的によく練れ、若さに満ちた幅広い豊かな表現が良かった。各パートはよく弾き込まれ、練習の成果が伺える。全体的には、ロメオとジュリエットの悲劇的な結末よりは、恋に戯れる2人の若々しさが伝わってくる明快かつ快活な演奏で、聞き応えがあった。コンサートマスターはライナー・キュッヒル。
これからセミナーを通じてどれだけ変貌していくか、期待感を持たせる演奏会で、いい試みだったのでは。アカデミー生にとってもステージでの演奏回数が増えるのはいい経験になるだろう。
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