札幌交響楽団名曲シリーズ
~はるかなる銀河を
ジュピターとヤマト
2025年2月15日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮/下野竜也(首席客演指揮者)
ヴァイオリン/三浦文彰
ピアノ/高木竜馬
ヴォカリーズ/隠岐彩夏
モーツァルト:交響曲第41番「ジュピター」
羽田健太郎:交響曲「宇宙戦艦ヤマト」
交響曲「宇宙戦艦ヤマト」がいい演奏だった。この作品はもちろんクラシックの様式に従って完成されているが、クラシック風の取り繕った雰囲気が全くなく、ポピュラー風の単調さもなく、両方の良いところを過不足なく持ち合わせているユニークな作品だ。全曲は50分近くもの大作だが全く飽きさせない。
オーケストレーションがとても良く、実に気持ちよく音が響き、よく鳴る。弦楽器、管楽器の扱い方が単に上手い、というだけではなく、なかなかいいセンスで書かれていて、表現に不自然さが全く無い。
それぞれの楽器の特徴を捉え、ソリスティックな面白さが過不足なく表現されており、第3楽章でさりげなくヴォカリーズを入れたり、終楽章でのヴァイオリン独奏、ピアノ独奏も協奏曲風で、かつそれぞれの楽器の聞かせどころもわきまえていて、華やかさがある。
今日は、なんと言っても演奏者が皆見事で、特にオーケストラは申し分ない仕上がり。3人のソリスト達も皆素晴らしく、いい声、いい音色がしていた。全体として聞き応えのあるスケール感豊かな演奏で、羽田健太郎が抱いたイメージよりも格段に優れた作品に聞こえてきたのは事実だろう。
宇宙戦艦ヤマト効果か、会場はほぼ満席。普段の定期、名曲には来場しないような客層も多かったようだが、やはり平均年齢は高く、聴衆拡大につながるかどうか、は難しいところだ。
プログラム前半では、冒頭に、先頃急逝した指揮者の秋山和慶を追悼して、モーツァルトの「ディヴェルティメントK.136 から第2楽章」を演奏。
かなり遅いテンポで、かつ練習不足のためかアンサンブルは充分ではなかったにせよ、つい先日(2024年9月7日)共演したばかりで、伝説的な存在となった秋山和慶への追悼の思いがこもっていた演奏だった。
ジュピター交響曲は、これと言って何か特筆すべき個性的な表現もない、標準的な演奏。初めて聴く人にとっては偏見なくモーツァルトを受け入れることができる普遍的な演奏だったともいえる。
弦と菅のバランス、アンサンブルの精度など、今日はいずれも今一歩のところもあったが、どちらかというと、よく歌う楽章よりはフーガ風で手の込んだ作曲技法の楽章がよく、特に終楽章が力感があり立体感が感じられた演奏だった。
コンサートマスターは会田莉凡。
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