第27回リスト音楽院セミナー 講師による特別コンサート
リスト音楽院開学150周年記念ガラ•コンサート
2025年2月19日19:00 札幌コンサートホールKitara 小ホール
ハープ/アンドレア・ヴィーグ★
ピアノ/ガーボル・ファルカシュ●、バラージュ・レーティ◆
トゥルニエ:演奏会用練習曲「朝に」★
J.トーマス:吟遊詩人の故郷への別れ★※
デュラン:ワルツ 第1番 変ホ長調 作品83★
ドビュッシー:前奏曲集 第1巻より◆
第4番 夕べの大気に漂う音と香り
第9番 とだえたセレナード
リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ S.529◆
アヴェ・マリア S.182●
死の舞踏 S.525●
ドビュッシー:2つの舞曲「神聖な踊りと世俗の踊り」★◆
リスト:ラーコーツィ行進曲 S.692●◆
リスト音楽院セミナーの教授陣によるコンサート。今年はペレーニが不在でちょっと残念だったが、その代わり前学長でハーピストのアンドレア・ヴィーグが名演を聴かせてくれた。
そのハーピストのヴィーグは、抜群の安定感。優れた技巧と表現力で、前半はハープの定番メニューを落ち着いた雰囲気で演奏。
後半のドビュッシーはレーティとのアンサンブルも完璧で、さすがの実力。
レーティはプロフェッサータイプの演奏。と言っても堅苦しいつまらない演奏、ということではなく、作品を掘り下げ、過不足なくその性格を把握して表現していく優れたバランス感覚を持っていて、まさしくお手本に相応しい演奏を披露してくれる。
ドビュッシーの2つの前奏曲は堅実で的確。続くリストの「バッハの名による幻想曲とフーガ」が圧巻。幻想曲での次々と移りゆく楽想の表現の多彩さ、フーガでの確実な歩みは見事。全体的な構成力や充実した音の厚み、特に低音のテーマなどの表現は単に大きな音ではなく、響きやバランスがよく考え抜かれていて、音楽的にとても豊か。オルガン版とはまた違ったスケール感が感じられた演奏だった。
ファルカシュは演奏家タイプ。音色が明るく外向的な伸びやかさがあって、素晴らしいピアニストだ。抑揚がはっきりとしていて、聞きやすく、わかりやすい。「死の舞踏」はすっきりと音が抜けてきて、ダイナミックで、技術的にも申し分ない。華やかさがあって、レーティとは異なる個性の響きが聴けて、とても面白かった。
ソロの時はそれぞれ違うピアノを選択、それにも2人の個性が反映されていて、その聴き比べも楽しかった。
この2人による「ラーコーツィ行進曲」は、鋭く、歯切れ良く、隙のない推進力のある演奏で、しかも作品に込められた高揚した気分も充分伝わってきた名演。自国ハンガリーの作品を演奏する誇りと情熱が感じられた演奏だったともいえる。
この種のガラコンサートは往々にして祝典的雰囲気の方が主となり比較的弛緩した内容に陥るケースが多いが、今日は一本筋の通った妥協の無い演奏で、リスト音楽院の教授陣の実力を示してくれた重量感のあるコンサートだった。
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