森の響フレンド名曲コンサート
~モーツァルトとバーメルト
2025年6月 8日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮 /マティアス・バーメルト
管弦楽/札幌交響楽団
モーツァルト 交響曲第39番
モーツァルト 交響曲第40番
モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」
今日は第40番が12型で、あとの2曲は14型の編成。バーメルトは前回のモーツァルト(2023年11月、hitaru定期第15回、このときは40番を14型で演奏)でも大きな編成で演奏するのでこれはいつも通り。そして今日はモーツァルトだけを演奏するプログラムのためか、いつもより解釈に一貫性があり、バーメルトのモーツァルト像がより明確にされた演奏会だった。
とても素晴らしいモーツァルトだった。それぞれの交響曲の持つ個性的で多彩な表情が実に細やかに表現されていて、しかもそれらが繊細で柔らかく、優しく表現されている。平板にならず、陰影のはっきりした彫りの深い音楽で、どの楽章も心地よいテンポ感、リズム感で演奏されている。
音色が美しく、弦楽器セクションはヴィブラートを最小限にして、弓で押さえ過ぎない力の抜けた柔らかい音で、とてもきれい。管楽器セクションは絶妙にコントロールされた力みのない艶のある音がまっすぐ伸びてきて聴きやすい。オーケストラを無理やり鳴らさずに自然な響きで聴かせてくれ、全体のまとまりが素晴らしい。これはいつものバーメルトの響きだが、今日は最良の音だ。
全体的には、中庸で落ち着いた大人のモーツァルトと言ってもいいだろう。過去、小編成での古楽器によるモーツァルトの演奏でこのようなタイプの名演に触れる機会はあったにせよ、札響の演奏では、過去色々な指揮者のモーツァルトを聴いてきたが、これほど繊細かつ表情豊かなモーツァルトは初めての経験だ。
総合的には後半のジュピター交響曲が最もいい演奏だった。冒頭のトゥッティと続く弦の問いと答えの対比の表情のコントラストの見事さ、第2テーマのしなやかな歌い方、第2楽章の繊細で、かつ様々に変容するリズム音型の多彩な表情、第3楽章メヌエットの冒頭の自然で柔らかい歌い方と自然な表情のアーティキュレーション、第4楽章の堂々とした構成力など、一つ一つ挙げればきりがないが、全体的に申し分ない仕上がり。全体の音響バランスがとても良く、これぞ交響曲、と言いたくなる演奏だった。
第40番は、前回の演奏よりはバーメルトの意志が徹底されており、各楽章ともいい仕上がり。小編成による表現の明瞭さがよく生かされていて、特にこの交響曲の持つドラマティックな要素が、力まず、強調し過ぎずに、ごく自然な流れの中で表現されていて、バーメルトの優れたバランス感覚を感じさせたいい演奏だった。
一方で、第39番は、ジュピター同様の秀演だったが、第4楽章でわずかに第1ヴィオリンの不揃いが目立つなど、惜しいところもあり、またこの交響曲では、アンサンブルでややバランスを崩すところがあって、これは指揮者の責任ではなく、オーケストラの自助努力で解決すべき課題だと思う。
アンコールはモーツァルトのディヴェルティメント K.136から 第3楽章。バーメルトがしっかりコントロールしていたにせよ、団員の自発性が発揮され、見事なアンサンブルと多彩でまろやかな表情が印象的で、今日の全体の演奏を総括するような素敵なアンコールだった。
場内はほぼ満席。名曲の名演を堪能していたようだ。

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