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2023/11/23

 札幌交響楽団hitaruシリーズ定期演奏会第15回


2023年11月21日19:00 札幌文化芸術劇場hitaru


指揮:マティアス・バーメルト

ピアノ:ゲルハルト・オピッツ

管弦楽:札幌交響楽団


間宮芳生/オーケストラのためのタブロー2005

モーツァルト/交響曲第40番

ブラームス/ピアノ協奏曲第2番


    間宮は札響初演。札響の管楽器群の多彩な表現が印象的。冒頭いきなり拍子木が登場し、ハッとさせられるが、間宮らしい底力のある逞しい生命力を感じさせる作品だ。

 バーメルトは管楽器群から生き生きとした表現と繊細で美しい日本の笙の音色を想起させるハーモニーを、弦楽器群からは、武骨で力強さを感じさせる表現を引き出し、両者の一体感が実に見事。中では、特に長大で即興的な演奏を聴かせてくれたオーボエソロが素晴らしかった。

 バーメルトが振ると、弦楽器がとてもよく歌い、音に厚みが出る。全体の音楽の流れ、統一感にも優れ、作品の魅力をとてもよく伝えてくれた演奏だった。


 モーツァルトは札響演奏歴は70回だそうだが、意外に聴く機会の少ない名曲で、前回聴いたのがいつか思い出せない。バーメルトは古典であっても、編成を小さくすることはしないのが慣例のようで、今日も大編成の14型。

 だが、大編成ならではのスケール感をことさら強調することもなく、全体的に弦楽器を豊かに美しく歌わせてのモーツァルトだ。

 冒頭の主題の歌わせ方がやはりバーメルト。押さえつけず流れるようなボーイングによる、柔らかくすっと力の抜けた表情が素敵だ。この柔らかいアーティキュレーションで優美に歌わせる表現は、今日のモーツァルトの全体を通しての特徴。

 第2楽章の終盤あたりでは、弦楽器群だけによる抜群のハーモニーの美しさを聴かせてくれるなど、この優れたハーモニー感覚も今日の素晴らしかった点の一つ。

 第3楽章メヌエットでのシンコペーションのリズムの生き生きとした表情、終楽章の求心力のある演奏も良かった。

 全体的には、やや14型を持て余しているところと、管楽器が今一つ冴えに欠けていた印象を受けたが、バーメルトならのモーツァルトで、名曲の魅力を余すところなく伝えてくれた。


 ブラームスはオピッツが名演。元々ヴィルトゥオーソタイプのピアニストではなく、作品を表情豊かに表現する人だ。必ずしも音量は大きくなく、圧倒的な迫力はあまり感じさせない。だが、重要な音はすべて聴こえてきて、鋭いリズム感覚と停滞することのない求心的な音楽作りで、音楽に隙を与えない緊張感のある演奏だ。一方で第3楽章での穏やかでかつドラマティックな表現、第4楽章での快活な表情など、多彩な表情にも事欠かず、常にオーケストラと一体となったシンフォニックな響きを生み出して、なかなか聞き応えのあるブラームスだった。

 オーケストラは弦楽器セクションが見事。第3楽章のチェロのソロをはじめとする豊かな表現力と抜きん出て美しい音色は札響ならでは。それに対して管楽器セクションはやや冴えにかけ、意外なミスが多かったのが残念。

 コンサートマスターは会田莉凡。


 今年度で首席指揮者を退任するバーメルトはhitaru定期初登場。次回はKitara 658回定期と東京公演で、次年度以降はhitaruは予定がないようだ。是非ここでまた聴いてみたい指揮者だ。


2025/06/09

 森の響フレンド名曲コンサート

~モーツァルトとバーメルト

 2025年6月 8日14:00  札幌コンサートホールKitara大ホール


指揮 /マティアス・バーメルト

管弦楽/札幌交響楽団


モーツァルト 交響曲第39番

モーツァルト 交響曲第40番

モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」



 今日は第40番が12型で、あとの2曲は14型の編成。バーメルトは前回のモーツァルト(2023年11月、hitaru定期第15回、このときは40番を14型で演奏)でも大きな編成で演奏するのでこれはいつも通り。そして今日はモーツァルトだけを演奏するプログラムのためか、いつもより解釈に一貫性があり、バーメルトのモーツァルト像がより明確にされた演奏会だった。


 とても素晴らしいモーツァルトだった。それぞれの交響曲の持つ個性的で多彩な表情が実に細やかに表現されていて、しかもそれらが繊細で柔らかく、優しく表現されている。平板にならず、陰影のはっきりした彫りの深い音楽で、どの楽章も心地よいテンポ感、リズム感で演奏されている。

 音色が美しく、弦楽器セクションはヴィブラートを最小限にして、弓で押さえ過ぎない力の抜けた柔らかい音で、とてもきれい。管楽器セクションは絶妙にコントロールされた力みのない艶のある音がまっすぐ伸びてきて聴きやすい。オーケストラを無理やり鳴らさずに自然な響きで聴かせてくれ、全体のまとまりが素晴らしい。これはいつものバーメルトの響きだが、今日は最良の音だ。

 全体的には、中庸で落ち着いた大人のモーツァルトと言ってもいいだろう。過去、小編成での古楽器によるモーツァルトの演奏でこのようなタイプの名演に触れる機会はあったにせよ、札響の演奏では、過去色々な指揮者のモーツァルトを聴いてきたが、これほど繊細かつ表情豊かなモーツァルトは初めての経験だ。


 総合的には後半のジュピター交響曲が最もいい演奏だった。冒頭のトゥッティと続く弦の問いと答えの対比の表情のコントラストの見事さ、第2テーマのしなやかな歌い方、第2楽章の繊細で、かつ様々に変容するリズム音型の多彩な表情、第3楽章メヌエットの冒頭の自然で柔らかい歌い方と自然な表情のアーティキュレーション、第4楽章の堂々とした構成力など、一つ一つ挙げればきりがないが、全体的に申し分ない仕上がり。全体の音響バランスがとても良く、これぞ交響曲、と言いたくなる演奏だった。


 第40番は、前回の演奏よりはバーメルトの意志が徹底されており、各楽章ともいい仕上がり。小編成による表現の明瞭さがよく生かされていて、特にこの交響曲の持つドラマティックな要素が、力まず、強調し過ぎずに、ごく自然な流れの中で表現されていて、バーメルトの優れたバランス感覚を感じさせたいい演奏だった。


 一方で、第39番は、ジュピター同様の秀演だったが、第4楽章でわずかに第1ヴィオリンの不揃いが目立つなど、惜しいところもあり、またこの交響曲では、アンサンブルでややバランスを崩すところがあって、これは指揮者の責任ではなく、オーケストラの自助努力で解決すべき課題だと思う。


 アンコールはモーツァルトのディヴェルティメント K.136から 第3楽章。バーメルトがしっかりコントロールしていたにせよ、団員の自発性が発揮され、見事なアンサンブルと多彩でまろやかな表情が印象的で、今日の全体の演奏を総括するような素敵なアンコールだった。

 場内はほぼ満席。名曲の名演を堪能していたようだ。

2024/04/26

 札幌交響楽団hitaruシリーズ定期演奏会 第17回

~童話と絵と音楽と

2024年4月25日19:00 札幌文化芸術劇場 hitaru


指揮 / 広上 淳一

ヴァイオリン /ボリス・ベルキン

管弦楽/札幌交響楽団


尾高 惇忠:音の旅 オーケストラ版(2020)

     1. 小さなコラール        8. 雪国の教会

     2. 森の動物たち        9. なめとこ山の熊

     3. おもいで           10. 注文の多い料理店

     4. 優雅なワルツ         11. 種山ヶ原

     5. シチリアのお姫さま      12. どんぐりと山猫 

     6. エレジー           13. 古い旋法によるフガート 

     7. 前奏曲                                       14. バレリーナ 

                     15. フィナーレ~青い鳥の住む国へ~


ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ムソルグスキー(ラヴェル編) :組曲「展覧会の絵」



 尾高の作品は、オリジナルは宮沢賢治の童話に基づく全14曲からなるピアノ連弾曲。2020年、これに第11曲を加え全15曲としてオーケストラ版が編集された。今日はオーケストラ版全曲の初演。

 配布プログラムの解説にあった、尾高がパリ音楽院で精妙なエクリチュールを究めた、とあれば、ここで学んだ邦人作曲家達のあの難解極まる作品群が思い浮かんだが、さにあらず、題名を想起させるとてもおしゃれで気の利いた素敵な名品集だ。

 ここには気難しい無調の現代音楽の姿は全くない。聴きやすいばかりではなく、聴き手の心を健やかに落ち着かせ、どこか憧れに満ちた夢のある世界をイメージさせる作品集だ。各曲は個性的で多彩、単なる情景描写に留まらず、郷愁を誘う懐かしさがある。特に前奏曲以降フィナーレまでが傑作。各曲数分程度の長さで全15曲を演奏しても約30分程度とちょうどいい長さ。

 広上はおそらくこの作品をとても大切にしているのだろう。各曲の個性をよく生かし、オーケストラをよく歌わせ、まろやかな響きと表現でまとめ上げ、決して陳腐にもならず、作品がよりいっそう優れた内容に聴こえてくる秀演だった。今日の演奏を聴く限り、大人から子供まで幅広い世代が楽しむことができる作品だ。童話とのコラボレーションした演奏も面白そう。

 

 ブルッフのソロを弾いたベルキンは美音の持ち主。若いヴァイオリニストだったらもっとテクニックを強調し、アタックの強い演奏をするのだろうが、今日は作品に込められた豊かな音楽性に主眼を置いた演奏。もちろん技術的にもこの作品を表現するのに全く過不足ない。

 特に第1、2楽章がことのほか表情豊か。美しい音色で深く歌い込んだとても柔らかい音楽を聴かせてくれた。第3楽章はもっとテクニカルな要素を強調しても良かったような気がするが、終始大人の音楽を聴かせてくれた。

 全体的に若手にはない味わいがあって、尾高の「音の旅」と並べて聴くには最適の演奏。広上の指揮は素晴らしく、オーケストラが雄弁で、この作品で、これほどオーケストラが表情豊かだったのは初めての経験。


 「展覧会の絵」は、オーケストラを中央寄りに密集させ座らせての濃密な音作り。全体的にやや硬めの響きではあったが、広上らしいおおらかでスケール感ある演奏だった。ただ、ここの劇場は、札幌コンサートホールKitaraとは違って、なぜか低弦がよく響かない。これはどこの席に座っても同じのようだ。特に「バーバ・ヤガーの小屋」や「キーウの大門」ではもっとたくましい低音が聴きたかったが、Kitaraのようにグイグイ前に響いてこなかったのが残念。

 それを除けば、今日は弦楽器と管楽器とのバランスがとても良く、前半も含め、この劇場でこれだけまとまりのあるいい響きがしたのは久しぶりだ。

 トランペットの福田を筆頭に、管楽器群が大活躍。単によく演奏しただけではなく、全体的にアンサンブルとしてまとまりのある響きがしていたのが素晴らしい。響きがあちこち散らばることもなく、統一感があり、聴いていてとても安心感があった。

 コンサートマスターは田島高弘。

 

2026/05/24


  森の響フレンド

札幌交響楽団名曲コンサート

ドヴォルジャーク×チャイコフスキー


 2026年5月23日14:00  札幌コンサートホールKitara大ホール


指揮/藤岡 幸夫

チェロ /石川 祐支<首席奏者>


ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲

チャイコフスキー:交響曲第4番



    ドヴォルジャークのソロは札響首席奏者の石川 祐支。この作品での石川と札響の共演はラドミル・エリシュカ時代の定期(2013.10.11第563回)で聴いて以来。従って個人的には13年ぶりに聴く演奏だ。

 どのフレーズでも確実で誇張されることなく的確に表現されていて、安定感のあるいい演奏だ。気心の知れた仲間との共演のためか、オーケストラとのアンサンブルも全く問題なく、ゲストソリストとの共演からは感じられない安心感がある。かつて、名匠エリシュカはこの協奏曲では結構危なっかしい棒を振っていたが、今回の藤岡の棒は的確で、オーケストラはスケール感豊かな演奏。ドヴォルジャークの優れたオーケストレーションが見事に再現されていて、とても気持ちのいい演奏だった。

 終演後は石川のネームタオルが振られるなど、プロ野球選手並みの派手で熱烈な拍手が続いたにも関わらずソリストアンコールは無し。ちょっと残念でした。


 後半はチャイコフスキーの交響曲第4番。今年は676回定期(4/18、広上)で第5番、hitaru定期第25回(4/30、円光寺)で第6番「悲愴」を聴いたばかり。わずかひと月ばかりの間にチャイコフスキーの3大交響曲を聴いたことになる。

 数少ない貴重な機会で、こうしてまとめて聴いてみると、一筋縄では行かない重量感のある傑作揃いであることを改めて認識。今振り返ってみると、演奏は三者三様の個性があって実に面白かったが、何よりもこのオーケストラが安定した実力の持ち主であることを実感出来たのは良かった。

 この第4番は意外と聴く機会が少なく、この会場で聴くのは本当に久しぶりだ。華やかで派手な作風だけにオーケストラの実力が問われる作品だが、今日の藤岡は全体をそつなくまとめ上げ、どちらかというとオーケストラの機能をうまく引き出した熱い演奏。細かいディテールもきちんと仕上げられており、申し分ない。いずれの楽章も大きな瑕疵がなく、優れたアンサンブル能力を導き出し、このオーケストラの実力を余す所なく発揮させた、スッキリとしたいい演奏だった。

アンコールに「エルガー/夕べの歌 op.15-1」。

 コンサートマスターは田島高宏。

2022/12/18

札幌交響楽団hitaruシリーズ定期演奏会第11回


2022年12月15日19:00  札幌文化芸術劇場hitaru


指揮/川瀬賢太郎


サクソフォン/上野耕平

ピアノ/山中惇史

パーカッション/石若駿


管弦楽/札幌交響楽団


ニールセン:フェロー諸島への幻想の旅

吉松 隆:サイバーバード協奏曲(1994)

メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」

 


 吉松隆がよかった。サクソフォンの上野は、何度も来札しており、札幌の聴衆にはお馴染みだが、やはりこの人の音楽的センスは抜群で、サクソフォーンの楽器の範疇を超え、聴衆に訴えかけてくる優れた表現力がある。今回は、喜怒哀楽が豊かな、鮮やかな演奏を聴かせてくれた。

 山中、石若も、アンサンブルに対する優れた感覚を持っており、美しい音色による繊細な表現が素晴らしい。

 特に第2楽章に込められた吉松の思いが、3人による繊細で、透き通るような音色で表現され、これはとても感動的な演奏だった。

 パーカッションの石若の澄んだ美しい音がとても印象的で、時には主役として自己主張をしたり、また影でそっと支えたりと、見事な存在感だ。パーカッションが、多彩な表現能力を持った、しかもとても優美な楽器であることを示してくれた。

 オーケストラはややソロを邪魔するような、大きすぎる響きの箇所もあったにせよ、ソリストとの一体感があって、いい演奏だった。

 吉松の作品には、ほんのりとした調性感覚と、日本人ならではの情緒豊かな感性がある。「美しい旋律や和声を否定した20世紀の前衛音楽に反旗を翻し、1980年代から「世紀末叙情主義」を標榜(当日配布プログラム解説より)」している通り、今日の演奏は吉松作品のそんな魅力を存分に伝えてくれた。吉松が来場し、この演奏を鑑賞。

 3人で、アンコールにロンドンデリーの歌。ピアノの山中がしゃれた即興を聴かせ、上野がそれに答え、石若が彩りを添える、という呼吸の揃った鮮やかな演奏で、聴衆への素敵なクリスマスプレゼントとなった。

 

 メンデルスゾーンは、楽曲の性格が比較的明確な後半の第3、4楽章が、表情に豊かさがあり、充実した響きのまとまりある演奏で、聞き応えがあった。

 ただ、今日座った一階の20列では、弦楽器の厚い響きに覆われて木管楽器群のソロがKitaraのように抜けて響いてこない。ここは客席によってかなり響きに違いがあるにせよ、メイン会場のKitaraとは、響きのバランスが異なるので、その調整が今回はやや不調だったのかもしれない。

 第1、2楽章はもう少し丁寧な交通整理と、ピアノ、ピアニッシモの美しさが感じられる豊かな表情があるともっと良かった。全体にやや大味で、秘めたロマンティシズムがあまり感じられなかったのがちょっと残念。


 冒頭のニールセンは、プログラムに掲載されていた作曲者自身のコメント通りに音楽が進行して、なかなか面白い作品だった。管楽器の音色がきれいで、ローカル色豊かな、遠近感のある素朴な雰囲気が感じられ、いい演奏だった。

コンサートマスターは田島高宏。

2024/05/06

 Kitaraあ・ら・かると 

~きがるにオーケストラ~

2024年5月 3日15:00 札幌コンサートホールKitara大ホール


指揮 /石﨑 真弥奈

トランペット / 児玉 隼人

オルガン /ウィリアム・フィールディング*


ショスタコーヴィチ:祝典序曲

ハチャトゥリアン:「仮面舞踏会」よりワルツ

アルチュニアン:トランペット協奏曲

外山雄三:管弦楽のためのラプソディ

伊福部昭(藤田崇文編曲):「ゴジラ」タイトル・テーマ

ニーノ・ロータ:「ゴッド・ファーザー」より愛のテーマ

ファリャ:バレエ音楽「恋は魔術師」より‟火祭りの踊り”、

マスカーニ:歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より間奏曲*

レスピーギ:交響詩「ローマの祭り」より

                 第1部チルチェンセス、第4部主顕祭*


 今回は管楽器が大活躍する明るい作品群を集めたプログラム。その管楽器群が絶好調。弦楽器とのバランスも良く、全体的にまとまりのある良質の響きがしていて、聞き応えのあるコンサートだった(今日の席は2階RB4列)。

 チェロ、コントラバスは豊かに響いており、前回、札幌文化芸術劇場(2024年4月25日札響hitaruシリーズ第17回定期)で感じた低弦の物足りなさは今日は全く無く、一安心。


 やはりここで聴くオーケストラの響きは格別だ。ショスタコーヴィッチやレスピーギでバンダをポディウム席のオルガン脇で演奏させるなど、色々立体感のある編成が可能なのも、ここのホールの利点だ。

 今日の立役者は指揮の石崎。オーケストラを音楽性豊かに響かせる好リードで、音楽が停滞することなく、常に前向きで、今日のようなコンサートにはとても相応しい。

 札響は、定期や名曲シリーズでの緊張感から解放されたように、明るく伸び伸びとした演奏。このオーケストラが持つ柔らかく、しなやかな感覚に満ちた演奏で、聴衆もリラックスして鑑賞できたのではないか。


 冒頭のショスタコーヴィッチは、管楽器の明瞭な響かせ方、弦楽器とのバランスの取り方が鮮やかで冒頭に相応しい華やかな演奏だった。

 ハチャトリアンは、荒削りで垢抜けないところもあったが、逆にそれがこの作品の性格に向いていたようで、面白く聴くことができた。

 アルチュニアンでトランペットソロを吹いた児玉 隼人は、リズム感のいいソロを聴かせてくれ、これはとても素晴らしい才能。ソリストアンコールでは珍しいオーケストラ付きで、チャイコフスキーの「白鳥の湖」より 「ナポリの踊り」。


 後半もマスカーニを除いていずれも活発な作品ばかり。これだけ元気のいい作品ばかり続くと食傷気味かとも思ったが、それぞれの作品が短く、かつ歯切れの良い演奏に仕上げてくれていたので、飽きることもなく作品を味わうことができた。

 最後のレスピーギが素晴らしかった。これは指揮者のほど良いコントロールによるものだろうが、それに応えた札響が見事。特に第4部の「主顕祭」はオーケストラの演奏レベル次第で印象がかなり変わるが、単に大音響で鳴らすだけではなく、全体のバランスが終始取れていて、音楽的にも粗野にならず、安心して聴くことができた。

 司会も行い、今日の石崎は大活躍。今日のプログラム以外ではどうなのかも含め、今後の活躍に大いに期待しよう。


 アンコールにエルガー:行進曲「威風堂々」作品39より 有名な第1番 ニ長調。

 コンサートマスターは田島高宏。