2022/01/25

 Kitaraランチタイムコンサート>

金子 三勇士のきがるにクラシック

202212313:00開演  札幌コンサートホールKitara大ホール


ピアノ/金子 三勇士


ショパン:12の練習曲 ハ短調「革命」作品10-12

     24の前奏曲より変ニ長調「雨だれ」作品28-15

     ワルツ第6番 変ニ長調「子犬」作品64-1
ドビュッシー:ベルガマスク組曲より 3曲「月の光」

バルトーク:ルーマニア民族舞曲 BB 68
リスト:パガニーニによる超絶技巧練習曲集より

     第3番「ラ・カンパネラ」S.141/3 

    ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調 S.24


  お話付きの約一時間のコンサートFM放送番組の司会を担当しているだけに、話はよどみなく、聞きやすい。 

 話題は多種多彩だが、母親がハンガリー人で、アイヌ民族の子守唄とハンガリー民族の子守唄にとても多くの共通点があり、祖母が実際にうたって聞かせてくれた、という音楽に関するテーマがやはり興味深く、楽しい。

 全体的にはプロの音楽家ならではの話題がもっと多い方が、演奏会を聴く楽しみが増えるのではないか。

 

 演奏は第一線で活躍しているだけに安定しており、かつ楽譜にとらわれずに自由に弾いているところもかなりあり、聴き手を飽きさせない。


 最も優れていたのはバルトーク。舞曲のリズム感など、明確なオリジナリティが感じられ、バルトークならではの内に込められた情熱が熱く表現された重量感のある演奏。ハンガリーの血筋を感じさせた名演で、他の演奏家からは聴けない充実した内容だった。


 「雨だれ」、「月の光」、アンコールのショパンの「ノクターン嬰ハ短調遺作」など、静かな作品は、音色がよく磨かれていて美しい仕上がり。一方、技巧的な作品では、特に最後の「ハンガリー狂詩曲第2番」が良かった。次から次へと現れる様々なテーマが、リズミックで切れ味良く個性豊かに描かれ、それらを鮮やかな技巧でまとめ上げた、聴き応えのある演奏だった。

 お話にもあったように、本日の使用楽器はKitaraで数台所有している中で、最新のスタインウェイ。いい音が出ていた。


 ただ、作品の内容をよりわかりやすく伝えよう、というサービス精神旺盛のためか、技巧的な作品では力み過ぎ音が濁ったり、静かな作品では音楽の流れが停滞してしまうところもあった。優れた音楽性とテクニックを持っている有能な演奏家なので、力み過ぎずに普通の演奏をするだけでも、聴衆を魅了させるいい演奏になるのではと思う。


 オリジナリティのあるいいピアニストだ。今後の活躍が楽しみ。

 

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