札響名曲~ようこそマエストロ川瀬!
2022年5月14日14:00 札幌コンサートホールKitara
指揮/川瀬 賢太郎(札響正指揮者2022年4月~)
ホルン/ラドヴァン・ヴラトコヴィチ
ナレーション/ 駒ヶ嶺 ゆかり
ラヴェル:「マ・メール・ロワ」組曲
プロコフィエフ:ピーターと狼(ナレーション付)
R. シュトラウス:ホルン協奏曲第1番
ラヴェル:ボレロ
川瀬賢太郎が札響正指揮者としてKitaraに初登場。デビューは札幌文化芸術劇場hitaruで(4月14日)既に済ませており、その実力は既に披露済みだ。
冒頭のラヴェルは細部までとても丁寧に仕上げられており、演奏も美しく、作品の持つ子供らしい優しい感性が表現されていて良かった。ただ、全体的に全ての曲が同じ雰囲気で流れていくので、もう少し各曲ごとの性格の違いが表現されているともっと楽しめたのではないか。
プロコフィエフは、ナレーションと音楽が隙なく進行していて、引き締まった上演だった。ナレーションは聴きやすく、表情が豊か。演奏は落ち着いて安定感があり、大人のための交響的物語という雰囲気があって、楽しめた。
R•シュトラウスのホルンソロはラドヴァン・ヴラトコヴィチ。久々の名手登場で、その素晴らしさを堪能。
豊かな表現力は、まさに一級品。淀みない深い音が場内に響き渡り、特に弱音の美しさは格別。川瀬のプレトークによると高校生時代に、この作品をヴラトコヴィチの演奏で聴き込んでいたそう。それから何年過ぎたのか、衰えは全くなく、まだまだ活躍しそうだ。オーケストラも熱演。
ソリストアンコール曲は、メシアンの峡谷から星たちへ...より 「恒星の呼び声」。これも柔軟で奥行きのある演奏。多彩で卓越した表現力で、題名を想起させるような名演。メシアンの大曲を凝縮して聴かせてくれた感があり、R•シュトラウス一曲分のインパクトがあったしれない。
ボレロは快演で、オーケストラの醍醐味を堪能させてくれた演奏。ただ、今日の札響はいつもの冴えがないところがあり、管楽器群に普段は無い意外なミスがあったり、フィナーレの弦楽器がやや硬めの音色で、いつもの柔らかくふくらみのある札響とはちょっと違うイメージに聴こえたが、これらの不満は、文句なしに楽しかったアンコール、ビゼー/「カルメン」より"トレアドール"で帳消し。
川瀬は、次回はhitaru定期で今年の12月に登場。川瀬らしいプログラミングで、大いに楽しみだ。