2022/05/07

 Kitaraあ・ら・かると

きがるにオーケストラ


20225315:00  札幌コンサートホールKitara大ホール


指揮・お話/太田 
ピアノ/角野 隼斗
管弦楽/札幌交響楽団


スーザ:星条旗よ永遠なれ
アンダーソン:シンコペイテッド・クロック
         フィドル・ファドル
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー ※ピアノ/角野 隼斗
バーンスタイン:「ウェスト・サイド・ストーリー」より 

         シンフォニック・ダンス
バーバー:弦楽のためのアダージョ 作品11
J.
ウィリアムズ:「スター・ウォーズ」より メイン・タイトル


 
 
 ソールドアウト公演。あ・ら・かると
にふさわしく、2人の優れた若手演奏家が主役の楽しいコンサートだった。

 1人目の若手は、指揮者で、札幌出身の太田弦。1992年生まれで、Kitara開館時は5歳、開館25周年の今年は指揮者として登場。

 太田の指揮でオーケストラを聴くのは個人的には今回が3回目。ここ数年で更に経験を重ねたようで、以前よりも、より充実した、かつ音楽的に美しい響きを生み出せるようになった。堅実で、師の高関健氏を彷彿とさせる指揮ぶりだ。

 前半のスーザやアンダーソンは、指揮者とオーケストラの間に様子の探り合いのようなところがあったが、ガーシュイン以降オーケストラの響きが見違えるように良くなった。

 バーンスタインは、味付けがやや薄い箇所もあったにせよ、響きを上手くコントロールした上質の演奏。弦楽器だけのバーバーはよく歌わせ、表情が豊か。最後の J .ウィリアムズは、引き締まったスケールの大きな演奏で場内を沸かした。

 全体的には札響の特質である、バランス感覚の良い、美しい音色と響きを見事に引き出していた指揮だ。オーケストラの個性をしっかり把握できる指揮者のようで、将来が楽しみだ。アンコールに同じスターウォーズからインペリアルマーチ。


 もう一人の若手、ガーシュウィンを弾いた1995年生まれの角野隼斗は期待通りの鮮やかな演奏。ショパンコンクールやYouTubeチャンネルでの目覚ましい活躍ぶりで、最近の若手では最も注目されている1人だ。

 実際の演奏を聴いてみると、自由闊達に自分の感じた感情を思い切り表現する気持ちの良さがあり、昔風のお行儀の良いクラシックの演奏家にはない、新鮮な感覚を持ったピアニストだ。

 カデンツァの箇所で、ピアニカでメロディーを吹くアイディアなどユニークで面白いが、これが正解なのだ、と思わせる説得力がある。

 随所で即興が加わるが、悪趣味にならない。心柱をしっかりと立てた上に、様々な要素を付加していくタイプなので、音楽の全体像が崩れずに品の良さをいつも保っている。ソリストアンコールにガーシュウィンのスワニー。

 一昔前だと、このタイプの演奏家は、どことなく素人っぽさがあって、いつの間にか姿を消してしまう例も少なからずあったが、しかし、角野は間違いなくプロフェッショナル。抜群のリズム感と無理のない演奏テクニックの持ち主で、音もきれい。繰り返し聴きたくなる魅力あるアーティストだ。将来を期待できる俊英だ。

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