Kitaraあ・ら・かると
ニコラさんのオルガンコンサート
2022年5月5日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
オルガン/ニコラ・プロカッチーニ
(第22代札幌コンサートホール専属オルガニスト)
ヴィドール:オルガン交響曲第5番へ短調 作品42-1第一楽章
P.モランディ:協奏曲第6番
F.クープラン:修道院のためのミサ曲より
キリエ「ブラン・ジュ」
キリエ「グラントルグのトランペットと、
ポジティフのモントル、ブルドンおよび
ナザールとのディアローグ」
サンクトゥス「コルネのレシ」
グロリア「ヴォワ・ユメーヌのディアローグ」
教区のためのミサ曲より
アニュス・デイ「グラン・ジュによるディアローグ」
J.S.バッハ:トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
ヴィエルネ:幻想的小品集より即興曲作品54-2
シューマン:ペダル・ピアノのための練習曲集 作品56より
第2番、第6番
ヴィエルヌ:幻想的小品集より ウェストミンスターの鐘 作品54-6
5月3日から始まった「Kitaraあ・ら・かると」はこのコンサートで閉幕。今日はステージ奥にスクリーンを設置し、オルガニストの演奏風景を投影。聴衆は音だけではなく映像によって普段見ることのできない演奏の様子を楽しむことができる。
昨年閉館中のオルガンオーバーホールについてはすでにレポートしたが(2021.11.12)、それからもう半年以上経ち、気候も良くなって、オルガンのサウンドもより落ち着きを取り戻したようである。今日は気候も良く最適の湿度だったようで、オルガンのサウンドがきれいだった。
ニコラは、映像で見ると、力が抜けた自然体でとてもスマートな演奏スタイルだ。力みがないので、音が美しく、すっきりと響いてくる。
ヴィドールは、響きがまろやかで、今日のオルガンの状態がいいことを知らせてくれた演奏。
P.モランディはニコラが愛奏する作曲家のようで、何度も演奏しているが、今日の作品はモーツァルト風の軽快さがあり、スッキリした音色と躍動するようなリズム感があり、楽しめた。
クープランは様々な種類のパイプの音色を味わうことができ、オルガン試聴会のよう。各パイプの音色は実に美しく、自然に響いてきて、オーバーホールの成果とニコラの自然な奏法の結果だろう。イタリア人なので、フランス系のオルガニストとはやはり感性が異なるようで、イネガル(不均等)のリズムの表現の仕方や、全体の構成に違う味わいがあって面白かった。
バッハは一気呵成に弾き切った鮮やかな演奏。若々しいエネルギッシュなイメージによる情熱的なバッハだった。
シューマンはロマン性豊かな音楽が魅力的だが、オルガンでシューマンらしさを表現するのは意外に難しい。ニコラは2曲ともよく歌い込んだしなやかな表現で、歴代専属オルガニストの中でもトップクラスの演奏。
ヴィエルネは伸びやかで音が豊かに広がり、スケールの大きな演奏だった。今日はオルガンの音がとてもきれいで、しかも最強音でも音が割れずに、柔らかく聴こえてきて、心地良かった。これはニコラの優れた演奏技術によるものでもあろう。
アンコールにモーツァルトを弾きながら、最後はこいのぼりの歌が聴こえて来て、サービス満点。
今日はオルガンにとって最適の気候だったようだ。オーバーホール後のベストの状態のサウンドと、ニコラの優れた音楽性・演奏技巧とが一致しての、なかなか聴けない優れた演奏だった。
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