Kitaraあ・ら・かると
<北海道教育大学・札幌大谷大学・Kitara連携事業>
若い芽の音楽会
北海道教育大学・札幌大谷大学の卒業生・在校生7組が出演
2022年5月4日13:00 札幌コンサートホールKitara小ホール
1. ヴァイオリン・ソロ
マスネ:タイスの瞑想曲
サン=サーンス/イザイ編曲:ワルツ形式の練習曲による奇想曲
ヴァイオリン/徳田 和可
ピアノ伴奏/大野 真希
2. クラリネットデュオ&ピアノ
ベールマン:クラリネットとピアノのためのデュオコンチェルタント
作品33
クラリネット/鈴木 聖来、原田 茉優
ピアノ/中村 美月
3. ピアノ三重奏
シャルヴェンカ:ピアノ三重奏曲 作品121より 第3楽章
ヴァイオリン/土屋 有希乃
ヴィオラ/垣原 慰吹
ピアノ/増川 里菜
4. サクソフォン・ソロ
ウォーレイ:サクソフォン・ソナタ
サクソフォン/渡邉 丈留
ピアノ伴奏/二階堂 瑞穂
5. 2台ピアノ
ミヨー:スカラムーシュ 作品165b
ピアノ/安達 莉子、佐藤 美空
6. ピアノ・ソロ
シューマン:幻想曲 作品17 ハ長調より 第1楽章
ピアノ/大野 真希
7. フルート・ソロ
プーランク:フルート・ソナタ FP164
フルート/類家 千裕
ピアノ伴奏/吉田 妃菜
昨年はコロナ禍の緊急事態宣言解除後初めての主催事業として開催。今回は通常通り、「あ・ら・かると」期間中の開催となった。2003年からの実施しており、「あ・ら・かると」に移動は2016年から。
ヴァイオリンソロは響きが小ホールいっぱいに広がり、音色もきれいだ。マスネもサン=サーンス/イザイ編曲も、隅々まで美しい音色で歌い込まれていた、とても音楽的な演奏。後半でシューマンを演奏する大野がとてもいいセンスの伴奏で、両者一体となり、素晴らしい音楽を作り上げていた。
クラリネット•デュオ&ピアノが演奏したベールマン(息子)はなかなかドラマティックでスケールの大きな作品。同時代の作曲家達に霊感を与えたであろう、ベールマンの演奏レベルの高さが伝わってきた見事な演奏。また、19世紀の半ばにはクラリネットは、楽器として高い水準に達していたことを認識できた秀逸な演奏。ピアノパートも雄弁で、それを見事に演奏した中村も素晴らしかった。
演奏機会の少ないシャルヴァンカのピアノ三重奏(1915)は、保守的だが、流麗でほの暗さを持つ独特の作風で、音楽的にまとめ上げるのは難しそうな作品。各楽器のバランスがとても良く、整った端正なアンサンブルだ。作品の魅力をしっかり伝えてくれた、よく考えられた演奏だった。
ウォーレイは、サクソンフォンのための作品では最も難曲の一つだろう。この作品を技術的にも音楽的にも、見事にかつ鮮やかに聴かせてくれた秀逸な演奏。前向きのテンポで停滞することもなく、全く疲れを知らない、この楽器を演奏するために生まれてきたような印象さえ与えてくれた。技術的に素晴らしいのはもちろん、良く歌い込まれた感性の豊かさもあり、聞き応えがあった。ピアノ伴奏も見事。
ミヨーは溌剌とした生命力あふれる演奏。この作品の特徴がとてもよく表現されていて、2人のセンスの良さに感心。2台のピアノのバランスが良く、騒々しくならずに、軽やかで、すっきりとまとめられており、楽しめた演奏。
シューマンは本日唯一の19世紀前半のロマン派作品。優れた感性の持ち主で、よく考えられた演奏。細部まで音楽的に仕上げられており、バランス感覚のとても良いピアニスト。よく歌われていて音色もきれいで、この作品に込められた様々なシューマンの想いを余すところなく伝えてくれた。
プーランクはアンサンブルとしてとても高いレベルに到達していた演奏。フルートもピアノも細やかな表情、息の長いフレーズ、次々と移り変わる気まぐれな感情など、作品の多彩な様相を見事に伝えてくれた。
来場者も多く、子供と若者の祝祭でもある「あ・ら・かると」にふさわしい演奏会。これから飛び立つ若人の演奏を聴けるチャンスと、前回もそうだったが、演奏機会の少ない作品に触れる貴重な機会でもある。多様化の時代にふさわしく、様々なジャンルに優れた演奏家が育ってきているのがとても楽しみだ。今回声楽家が不在だったのが残念。次年度以降に期待しよう。
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