Kitaraあ・ら・かると
3歳からのコンサート
「Kitaraあ・ら・かると」が5月3日からの3連休中に開催されるようになったのは2012年から。今回は、コロナ禍による中止と改装閉館を経て、 2020年以来3年ぶりの開催。
期間中は各種コンサートの他、地下探検隊や子供スタッフ、楽器づくり体験などが同時開催されている。 期間中開催されたコンサートから、この欄では「3歳からのコンサート」の紹介を。
45分でお話付きのこのコンサートは2012年当初から開催されており、家族連れに人気がある。毎年多くの来 場者で賑わう。今年も3回のコンサートがほぼソールドアウト。未就学児の多いコンサートとしては、皆きちんと鑑賞していたのでは。基本的にはコンサートの内容次第だ。
I チェロ
2022年5月3日10:30 札幌コンサートホールKitara小ホール
チェロ/加藤 文枝 ピアノ/小澤 佳永
エルガー:愛のあいさつ
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より 白鳥
フォーレ:蝶々
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード
ピアソラ:リベルタンゴ
ブラームス:子守唄 作品49-4
コネッソン:「アガルタの歌」より王の前でのダンス
ドビュッシー:月の光
グリーグ:チェロ・ソナタ イ短調 作品36より 第1楽章
カジュアルで、垢抜けた、お洒落な感性を持ったチェリスト。中でもバッハが、軽やかで、爽やかな演奏。かつての巨匠達のような威圧感が全くなく、新鮮で素敵。他の作品も、それぞれの特徴を上手く表現しながらも、枠にはまらない自由さがあって、子供が親しみを持って楽しめそうな演奏だ。お話は短く明瞭でちょうどいい長さ。最後のグリークは未就学児にはちょっと長かったかもしれないが、引き締まったいい演奏。全体のプログラミングは静動の対比の工夫もあり、またピアニストがソロ含めとても素晴らしい演奏で、チェロをしっかり支えていた。
II フルート✖️ギター
2022年5月4日10:30 札幌コンサートホールKitara小ホール
フルート&ピッコロ/泉 真由 ギター/松田 弦
鈴木大介:マカロン公爵
J.S.バッハ/グノー編曲:アヴェ・マリア
ディアンス:フォーコ(ギターソロ)
ピアソラ:「タンゴの歴史」より I. ボルデル 1900
モーツァルト:トルコ行進曲
歌劇「魔笛」より夜の女王のアリア
ジブリメドレー
プホール:「ブエノスアイレス組曲」よりIII. サンテルモ
フルートの、芯があってまっすぐ伸びる、むらのない美しい音色がとても魅力的だ。さりげなく吹いているようだが、実はこのように演奏できる人はすくない。ホール内にすっきりと音が透るので、子供達にも内容が良く伝わる、とてもわかりやすい演奏だ。お話も上手。
ギターの松田弦はフルーティストを立てながらも存在感抜群。2人のアンサンブルは多彩な表情があって楽しかった。ギターが一緒だと、やはりピアソラ、ポフォールといったリズミックな南方系作品が特に素敵で、子供達も心惹かれていたようだ。
III バリトン
2022年5月5日10:30 札幌コンサートホールKitara小ホール
バリトン/ヴィタリ・ユシュマノフ ピアノ/新堀 聡子
ビゼー:歌劇「カルメン」より 闘牛士の歌
ラフマニノフ:朝
チャイコフスキー:それは早春のことだった
ラフマニノフ:夜の神秘な静けさの中
白石光隆:プリヴェット・スパシーバ
山田 耕筰:鐘が鳴ります
武満徹:小さな空
小椋佳:愛燦燦
トスティ:理想の人
「慰め」より 夢を見て、私の愛する魂よ!
グノー:歌劇「ファウスト」より祖国を離れる前に
ロシア出身で日本在住。声量が豊かで、ホールいっぱいに響く。最初の闘牛士の歌では、場内が水を打ったように静かになり、聴衆は皆集中して鑑賞。ロシアの歌が素晴らしかった。一方で日本の歌では歌詞が不明瞭な箇所もあったが、内容がすべて伝わらなくとも、この人の歌には心の琴線に触れるような優れた音楽性がある。歌だけで充分魅了させる力のある人だ。白石光隆の歌で、ロシア語での挨拶の練習を子供達と行う以外、聴衆に話しかける場面が少なかったのが残念。伴奏は、細やかな配慮があり繊細で、歌手をしっかりサポートしていて、良かった。
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