2022/05/07

 Kitaraあ・ら・かると

3歳からのコンサート




Kitaraあ・ら・かると」が5月3日からの3連休中に開催されるようになったのは2012年から。今回は、コロナ禍による中止と改装閉館を経て、 2020年以来年ぶりの開催 

 

 

 



 
期間中は各種コンサートの他、地下探検隊や子供スタッフ、楽器づくり体験などが同時開催されている。

 期間中開催されたコンサートから、この欄では「3歳からのコンサート」の紹介を。

 45分でお話付きのこのコンサートは2012年当初から開催されており、家族連れに人気がある。毎年多くの来 場者で賑わう。今年も3回のコンサートがほぼソールドアウト。未就学児の多いコンサートとしては、皆きちんと鑑賞していたのでは。基本的にはコンサートの内容次第だ。


 

 I チェロ 

20225310:30  札幌コンサートホールKitara小ホール


チェロ/加藤 文枝 ピアノ/小澤 佳永


エルガー:愛のあいさつ
サン=サーンス:「動物の謝肉祭」より 白鳥

フォーレ:蝶々

バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番よりプレリュード

ピアソラ:リベルタンゴ

ブラームス:子守唄 作品49-4

コネッソン:「アガルタの歌」より王の前でのダンス

ドビュッシー:月の光
グリーグ:チェロ・ソナタ イ短調 作品36より 楽章 


 カジュアルで、垢抜けた、お洒落な感性を持ったチェリスト。中でもバッハが、軽やかで、爽やかな演奏。かつての巨匠達のような威圧感が全くなく、新鮮で素敵。他の作品も、それぞれの特徴を上手く表現しながらも、枠にはまらない自由さがあって、子供が親しみを持って楽しめそうな演奏だ。お話は短く明瞭でちょうどいい長さ。最後のグリークは未就学児にはちょっと長かったかもしれないが、引き締まったいい演奏。全体のプログラミングは静動の対比の工夫もあり、またピアニストがソロ含めとても素晴らしい演奏で、チェロをしっかり支えていた。


II フルート✖️ギター

20225410:30  札幌コンサートホールKitara小ホール


フルート&ピッコロ/泉 真由 ギター/松田 


鈴木大介:マカロン公爵

J.S.バッハ/グノー編曲:アヴェ・マリア

ディアンス:フォーコ(ギターソロ)
ピアソラ:「タンゴの歴史」より I. ボルデル 1900

モーツァルト:トルコ行進曲

       歌劇「魔笛」より夜の女王のアリア
ジブリメドレー 

プホール:「ブエノスアイレス組曲」よりIII. サンテルモ


 フルートの、芯があってまっすぐ伸びる、むらのない美しい音色がとても魅力的だ。さりげなく吹いているようだが、実はこのように演奏できる人はすくない。ホール内にすっきりと音が透るので、子供達にも内容が良く伝わる、とてもわかりやすい演奏だ。お話も上手。

 ギターの松田弦はフルーティストを立てながらも存在感抜群。2人のアンサンブルは多彩な表情があって楽しかった。ギターが一緒だと、やはりピアソラ、ポフォールといったリズミックな南方系作品が特に素敵で、子供達も心惹かれていたようだ。


IIバリトン

20225510:30  札幌コンサートホールKitara小ホール

バリトン/ヴィタリ・ユシュマノフ ピアノ/新堀 聡子


ビゼー:歌劇「カルメン」より 闘牛士の歌

ラフマニノフ:朝

チャイコフスキー:それは早春のことだった

ラフマニノフ:夜の神秘な静けさの中

白石光隆:プリヴェット・スパシーバ
山田 耕筰:鐘が鳴ります 

武満徹:小さな空

小椋佳:愛燦燦

トスティ:理想の人

    「慰め」より 夢を見て、私の愛する魂よ!

グノー:歌劇「ファウスト」より祖国を離れる前に


 ロシア出身で日本在住。声量が豊かで、ホールいっぱいに響く。最初の闘牛士の歌では、場内が水を打ったように静かになり、聴衆は皆集中して鑑賞。ロシアの歌が素晴らしかった。一方で日本の歌では歌詞が不明瞭な箇所もあったが、内容がすべて伝わらなくとも、この人の歌には心の琴線に触れるような優れた音楽性がある。歌だけで充分魅了させる力のある人だ。白石光隆の歌で、ロシア語での挨拶の練習を子供達と行う以外、聴衆に話しかける場面が少なかったのが残念。伴奏は、細やかな配慮があり繊細で、歌手をしっかりサポートしていて、良かった。

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