〈Kitara&札幌音楽家協議会連携プロジェクト〉
札幌の奏響(ひびき)Ⅲ
2023年3月11日15:00 札幌コンサートホールKitara 小ホール
指揮/大嶋 恵人(バッハ)、阿部 博光(ベートーヴェン)
合唱/札幌音楽家協議会合唱団
管弦楽/札幌音楽家協議会室内オーケストラ
オルガン/吉村怜子
J.S.バッハ:幻想曲ハ長調BWV570(オルガン独奏)
モテット「主をたたえよ、すべての異教徒よ」BWV230
教会カンタータ「泣き、嘆き、憂い、おののき」BWV12
ベートーヴェン:交響曲 第3番 変ホ長調 「英雄」 作品55
前回「札幌の奏響II」が平成31年3月で、コロナ禍を経て、今回は3年ぶりの開催。
バッハのオルガンソロはKitara所有のポジティフオルガンで。優しい音色で、よく歌い込まれた演奏。冒頭、気持ちを落ち着かせるには最適だった。
モテットは少人数の合唱(ソプラノ7名、アルト5名、テノール3名、バス5名)で、各パートの人数がやや不揃いにもかかわらず、いいバランスでまとまっており、躍動感のある表現で、聞き応えがあった。
カンタータは弦楽器と管楽器が加わっての演奏。オーボエが安定した美しいソロを聴かせ、アルト、バス、テノールによる歌手のソロはそれぞれが楽想に相応しい落ち着きのある歌唱。
バッハのカンタータを聴くのは本当に久しぶりだが、声楽ソロ、合唱、器楽グループとも、柔らかく優しい表情で、バッハの素晴らしさを語るが如く伝えてくれた、とてもいい演奏だった。小編成ゆえに演奏はかなりの精度を要求されるが、それに充分応え、しかもホール内にとてもいいバランスで響いており、これは指揮の大嶋の功績。
後半のベートーヴェンは、小編成(37名)で小ホールで聴くにはちょうどいい規模。対向配置で(先日の札響hitaru定期もそうだった。今流行り?)、ティンパニーが上手側。この配置が良かったのかもしれない。響き、バランスがとてもよく、聴きやすい良質のアンサンブルだった。
演奏は小ホールのよく響く空間を上手に活用した、無理のない自然な抑揚の表情で、柔らかい響きの演奏。それぞれのパートがとてもよく聴こえ、しかもメンバー個人個人の積極的な表現が、ちょうどいいバランスでまとまり、全体のアンサンブルとして形成されていたのが印象的。これは大編成からは感じられない心地良さだ。
管楽器グループのソロは生き生きとしており、かつ弦楽器グループは、賛助出演が多いパートがあったにせよ、全体的に安定感があって良かった。コンサートマスターの吉川美希子が全体を見事に統括しており、これは立派な仕事ぶり。
指揮の阿部のヒューマンな音楽スタイルが発揮された演奏で、このメンバーであれば、各楽章の性格描写をもっと繊細でクリアな表現で演奏できるのでは、とも思ったが、常設ではないオーケストラをよくまとめ上げていたと思う。
合唱、オーケストラとも安定しており、小ホールで、日中気軽に聴くには、最適の、質の高い演奏会だ。今後も是非継続することを期待する。なお、札幌音楽家協議会については同会HPを参照のこと。
アンコールにバッハのアリア(G線上のアリア)。今日は12年前に東日本大震災が発生した日。プログラムは犠牲者への追悼の意を込めた選曲だった。
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