森の響フレンド札響名曲コンサート
ウィーンのヴァイオリンで聴く
ブラームスとJ.シュトラウスⅡ
2023年6月17日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
コンサートマスターとヴァイオリン独奏 / フォルクハルト・シュトイデ
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
J. シュトラウスⅡ:「くるまば草」序曲
ワルツ 「もろびと手をとり」
常動曲
入り江のワルツ
ポルカ「雷鳴と稲妻」
シュトイデは2018年Kitaraのニューイヤー(2018年1月14日)以来の登場。2018年は、ブルッフのヴァイオリンコンチェルトの弾き振りだったが、今日はブラームス。オーケストラの書法が全く違うので、ブルッフほど簡単には行かなかったようだ。
弾き振りと言いながらも、オーケストラを信用してか、細かい箇所はほとんど振らずに、ほぼお任せ。
ソロは観客の方を向きながら演奏しているので、アンサンブルはコンサートマスター(ブラームスは田島高宏)だけが頼りだ。
ソロから離れているオーケストラのプレイヤー、例えば管楽器セクションは何処までソリストの演奏が聴こえているのだろうか。微妙なタイミングや音量などのバランス等、やはり指揮者がいないとアンサンブルがかなり辛かったように聴こえた。シュトイデがもう少し指示する機会が多いと、もっといい仕上がりになったのではないか。
とはいえ、ソロは素晴らしく、かつ、オーケストラの響きは全体的に引き締まってまとまりがあり、申し分ない。特に終楽章の力感あふれる表現が聞き応えがあった。全体的に良かっただけに、細部の未消化がちょっと気になった演奏だった。
後半はコンサートマスターとして登場。全てJ•シュトラウス2世の作品ばかり。前半とはオーケストラの響きがガラリと変わり、全体的に安定感に満ちた音。
指揮者無しで、コンサートマスターが采配を振ると、明らかにオーケストラ全体の響きが変わる。今日はウィーン風の雰囲気だ。軽やかで、柔らかく、しなやかな伸縮自在の表現で、弦の音がすっきりと抜けて聴こえてくる。ウィンナワルツの独特なリズムの表現もさまになっていて、ごく自然に表現できており、これはとても楽しかった。
明らかに日本人指揮者からはなかなか聴くことのできないヨーロッパ風のニュアンスとサウンドだ。指揮者よりもダイレクトにメンバーに音楽が伝わるためなのだろうか。
シュトイデが冒頭のプレトークでも話していたが、ウィーン風のローカルな訛りのドイツ語をオーケストラは習得しなければならなかったので、大変だっただろう、とユーモアたっぷりに話していたが、それが見事に消化されていて、団員もその表現を楽しんでいるよう。その雰囲気が聴衆にもよく伝わってきて良かった。
ようやく夏らしくなってきた暑い日に、ニューイヤーコンサート風のプログラム。どことなく違和感があったが、すっきりとした気分で帰路につけた気持ちのいい演奏会だった。
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