札幌交響楽団第660回定期演奏会
2024年4月21日13:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
指揮/川瀬 賢太郎(札響正指揮者)
管弦楽/札幌交響楽団
アイヴズ:交響曲第2番
チャイコフスキー:交響曲第4番
今回は交響曲が2曲。定期ではあまりお目にかからない組み合わせだが、ちょっと茫洋としたアイヴズと、メリハリがあり性格のはっきりしたチャイコフスキーを並べてコントランスを明確にしており、なかなか考えられたプログラムといえよう。
アイヴズは札響の半世紀以上にわたる歴史の中でも、演奏歴は過去1回だけ。やはり珍しい作品に属するのだろう。今回、初めてライヴで聴くことが出来たが、当然だが録音よりもやはり実演で聴く方がいい作品だ。掴みどころのない性格ではあるが、まとめ方次第では大きく印象が変わりそうな作風でもある。
当時の流行り歌等からの引用を土台にして作品を構成していく作曲技法は、どこの流派にも所属していないような不思議な魅力を持つ。反骨心も豊かなようで、その点ではマーラー的なのかも知れない。
今日の川瀬は、あまり作品に余計な解釈を加えず、しかし適度な性格描写を怠らずに、どちらかというと、ごく自然に全体を表現していたように思う。
引用された歌の数々をもっと明確に描く方法もあるのかもしれないが、この作品は自然体で流れるように表現した方が、聴きやすいようだ。
オーケストラの柔らかい音色がこの作品に相応しく、アイヴズ第2番は札響でなければ、という評価も出てきそうだ。
チャイコフスキーは、情景描写に優れた演奏で、様々なモティーフの表現が多彩さで豊か。しかし過度にロマンティックにもならず、単調にもならずに、ちょうどいいバランスで表現しているので、とても聴きやすかった。
すっきりとした爽快感も感じさせてくれ、やや退屈だったアイヴズでの不満を一掃してくれた演奏だった。さながらバレエを鑑賞しているかのように、バレエの色々なシーンが思い浮かぶような演奏。プリンシパルや悪役、脇役が次々に登場するような、色々な表情が沢山あって聞き応えがあった。
オーケストラは熱演。弦と菅のバランスがよく、細部まできちんと仕上げられた演奏で、全体的にとてもいいまとまりのある響きがしていて、安定感があり良かった。
今日の席は一階席8列目でいつもより前方より。個々の団員の熱演ぶりがよく見えて楽しかった。
コンサートマスターは会田莉凡。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。