PMFオーケストラ演奏会
2025年7月13日14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
カリーナ・カネラキス(指揮)
五明佳廉(ヴァイオリン)*
PMFヨーロッパ(PMFウィーン/PMFベルリン)
PMFオーケストラ
シベリウス:ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47*
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」
マーラーは今まで見たことがない大編成。おそらく16型を基本にウィーンとベルリンの教授陣が加わっている、という形か。ずらりと並んだ管楽器群に加え、目測ではコントラバスが10名、ヴィオラが14名。
今日の席からはよく見えなかったが、おそらく第1ヴァイオリンが18名の巨大編成だったのだろう。そんな中、なぜかハープが一本だったが全てきちんと聞こえて来たのは立派。
これだけの大編成にもかかわらず、カメラキスは全体を的確に把握し、特に分厚い管楽器群を圧倒的なパワーで鳴らすということもなく、バランスには細心の注意を払っていたようだ。
各楽章の設計はしっかりとしており、マーラーの楽譜をかなり忠実に再現していたのではないか。各楽想のメリハリのあるくっきりとした表現、明確なフレージングなど、聴いていると、なるほど、このフレーズはこうだったのか、と一つ一つが説得力があって、かつとてもわかりやすい。
特に後半2つの楽章が印象的で、第3楽章では、全体的に抑制の利いた表現ながらも、各楽器のバランスを見事にコントロールしながら、細部まで繊細に仕上げておりこれは見事。猪突猛進型になりがちな最終楽章も丹念に様々なモティーフを拾い上げ、細かく表現しながら全体を丁寧にまとめ上げ、説得力のある輪郭のはっきりとしたマーラーを聴かせてくれた。
実によくスコアを読み込んだ演奏で、この作品を、大編成にもかかわらず全体を見事に統率しつつ、とてもわかりやすく聴かせてくれたのは滅多にない経験。
もちろん、要所要所を固めたウィーンとベルリンの名手たちの存在なしではなし得なかった演奏だが、全体的響きは意外と地味で、オーケストラを高らかにドライブして存分に歌わせ、全体を大きくまとめ上げる、という感性はこれから磨きをかけていくのだろう。マーラーのコンサートマスターはライナー・キュッヒル。
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| 五明佳廉 |
冒頭のシベリウスは、ソリストの五明佳廉がいいソロを聴かせてくれた。暖かい響きの音色がきれいで、やや遅めのテンポでとても表情豊かに演奏し、技術的にも音楽的にも申し分ない。
これに対してオーケストラはおそらく全員がアカデミー生。やや練習不足なのか、不安定な箇所が幾つかあり、特に管楽器のソロがやや吹きにくそうにしていたのが気になった。
カネラキスは、ソリストとの呼吸は申し分なかったが、オーケストラ全体としては実力が発揮し切れなかったところがあったのが惜しまれる。

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