2025/07/24

 PMFアメリカ演奏会

2025年7月23日19:00 札幌コンサートホールKitara(小ホール)


PMFアメリカ

ヌリット・バー・ジョセフ

(ヴァイオリン、ワシントン・ナショナル交響楽団)
スティーヴン・ローズ(ヴァイオリン、クリーブランド管弦楽団)
ダニエル・フォスター(ヴィオラ、ワシントン・ナショナル交響楽団)
ラファエル・フィゲロア(チェロ、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
アレクサンダー・ハンナ(コントラバス、シカゴ交響楽団)


デニス・ブリアコフ(フルート、ロサンゼルス・フィルハーモニック)

ジョン・アップトン(オーボエ、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)

アントン・リスト(クラリネット、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
ダニエル・マツカワ(ファゴット、フィラデルフィア管弦楽団)
アンドリュー・ベイン(ホルン、ロサンゼルス・フィルハーモニック)


マーク・イノウエ(トランペット、サンフランシスコ交響楽団)
ティモシー・ヒギンズ(トロンボーン、サンフランシスコ交響楽団)
ジョセフ・ペレイラ(ティンパニ、ロサンゼルス・フィルハーモニック)
安楽真理子(ハープ、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
南部麻里(ピアノ、
PMFピアニスト


◆ジェフリー・ホームズ:

       トランペットとトロンボーンのためのコンティニュウム
    マーク J.イノウエ、
ティモシー・ヒギンズ、南部麻里

 

◆チャールズ・マーティン・レフラー:2つの狂詩曲
    ダニエル・フォスター、ジョン・アップトン、南部麻里

 

◆藤倉大:Luminousティンパニのための
    ジョセフ・ペレイラ


◆R. シュトラウス(ハーゼネール編):

        もう1人のティル・オイレンシュピーゲル!

   ヌリット・バー・ジョセフ、アレクサンダー・ハンナ、  アントン・リスト

   ダニエル・マツカワ、アンドリュー・ベイン

 

◆ジャン・クラ:五重奏曲
   スティーヴン・ローズ、 ダニエル・フォスター、ラファエル・フィゲロア

   デニス・ブリアコフ、 安楽 真理子



 PMFアメリカの教授陣はほぼ昨年と同じ。昨年のプログラムはシューマンやブラームスがあったが、今年はR・シュトラウスを除いて、初めて聴く作品ばかり。


 藤倉大のティンパニ・ソロ作品が面白かった。今日の演奏者ジョセフ・ペレイラのために書かれた作品で、日本初演だそうだ。ティンパニのあらゆる演奏技法を駆使して、多種多様の表情が聴こえてくる。

 特に印象的だったのは後半で登場した寺の鐘や読経の際の木魚の音色などを模倣した日本風の情景描写。眼前にこれらの風景が浮かんでくるようなとても繊細な表情の演奏で、その素晴らしさもあって、藤倉大ならではの独特の世界を堪能できた。

 

 そのほかでは、最後のフランス人のジャン・クラの作品が魅力的。1928年の作品で、作風は印象派的な雰囲気を漂わせながら、比較的透き通った音色で涼しげな情景を描いた佳品。暑い日に聴くには最適の作品だ。

 ハープがこの雰囲気作りに大きな貢献を果たしており、フルートのブリアコフが美しい音色で全体をリードしながらまとめ上げて行く、と言う構図。各セクションが皆作品の情景を見事に表現し、よくコントロールされた上品な演奏を聴かせてくれた。作品の価値をより高める秀演だった。


 R. シュトラウス は、全員がゆとりある余力十分の演奏。やはりこういう作品は、今日のような名手たちによる演奏者でなければその諧謔性は楽しめない。全員上手いだけではなく、遊び心もあり、実に楽しかった快演。


 前半の作品では、冒頭のホームズは、何処かで聴き慣れた和声やモティーフが聴こえてきて、バーンスタインへのオーマジュのような作風。トランペットとトロンボーンの鮮やかなソロが、リズミックに、またちょっと哀愁を帯びた雰囲気も醸し出し、生き生きとした鮮やかな演奏だった。


 チャールズ・マーティン・レフラーの2つの狂詩曲は1901年の作曲で、作風は比較的地味でクラシカルな雰囲気のある作品。

 演奏者が上質の表現で、作品の魅力をしっかり伝えてくれた。ここではピアノが大活躍。オーボエ、ビオラとの珍しいトリオだったが、とてもいいバランスで、室内楽としてはとても優れた仕上がりだった。



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