2026/05/29


ガエターノ・ドニゼッティ

愛の妙薬


2026年5月27日14:00 新国立劇場


【指 揮】マルコ・ギダリーニ

【演 出】チェーザレ・リエヴィ

【美 術】ルイジ・ペーレゴ

【衣 裳】マリーナ・ルクサルド

【照 明】立田雄士


【アディーナ】フランチェスカ・ピア・ヴィターレ

【ネモリーノ】マッテオ・デソーレ

【ベルコーレ】シモーネ・アルベルギーニ

【ドゥルカマーラ】マルコ・フィリッポ・ロマーノ

【ジャンネッタ】今野沙知恵

【合 唱】新国立劇場合唱団

【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団



 2010年初演プロダクションの再演。今回が5回目の再演となる人気上演のようだが、観るのは初めて。

    舞台はモダン仕様で、ともかく明るく、派手で綺麗だ。衣装は様々だが、基本オレンジの暖色系が中心の色調。舞台照明など、様々な場面がこの配色を中心に展開される。ほぼ実物大のセスナ機がドンと登場したり、場面に応じてハリボテ状の大きな文字や厚い本が入れ替わり、場所や形を変えて様々な場面を作り出す。

 これがうるさくなく、劇の進行を妨げないばかりか、場面ごとの性格を極めて明確に語ってくれ、実にわかりやすい。

 今回5度目の再演ということでかなりこなれた舞台になっているようだ。音楽の進行、雰囲気に美しく合致している舞台で、モダン仕様の舞台の中では音楽を妨げない抜群の仕上がりと言えるだろう。


 指揮は劇場初登場のマルコ・ギダリーニ。音楽は生き生きとしており、テンポは早目で、快活かつ伸びやかで、ドラマティックな表情にも事欠かない。東フィルから様々な表情を引き出し、このオペラに相応しい音楽を作り出したいい指揮者だ。

 前半の主役は新国立劇場合唱団。合唱はもちろんだが、衣装の明るい色彩感と様々な動きによる演技力とが自然にマッチングしており、音楽的にも視覚的にも楽しませてくれた。


 歌手ではアディーナのフランチェスカ・ピア・ヴィターレが歌も演技も容姿もなかなか魅力的。表現力豊かで声も上から下までよく整っていて、高音はほぼ完璧。これはとても素晴らしかった。

 ネモリーノのマッテオ・デソーレは22年椿姫のアルフレード役でこの劇場初登場以来2度目だが、聴くのは初めて。多彩な表情で、やや頼りない馬鹿正直なネモリーノという雰囲気を出しこれもお見事。「人知れぬ涙」はあえてこのような表現にしたのかも知れないが、贅沢を言えば絶唱まで行かず、奥行きの深さでは名歌手の域までもう少しか、というところもあったにせよ申し分ない熱演だった。

 ドゥルカマーラのマルコ・フィリッポ・ロマーノはこの劇場初登場。コミカルで実は難しい狂言回しの役柄を実に楽しげに、主役の如き見事にこなし、好演。そのほか、ベルコーレのシモーネ・アルベルギーニも存在感ある歌で良かった。

 ソリストがジャンネッタ以外海外勢というのは、このプロダクションでは初めてのようだが、日本人からはなかなか感じられないタフな声帯とコミカルな演技力は観ていて楽しいだけではなく、イタリアオペラのある種の筋金入りの逞しさ、一貫する大きな流れのようなものを感じさせてくれ、これは大成功ではないだろうか。

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