ジュール・マスネ
ウェルテル
2026年5月26日14:00 新国立劇場
【指 揮】アンドリー・ユルケヴィチ
【演 出】ニコラ・ジョエル
【美 術】エマニュエル・ファーヴル
【衣 裳】カティア・デュフロ
【照 明】ヴィニチオ・ケリ
【ウェルテル】チャールズ・カストロノーヴォ
【シャルロット】脇園 彩
【アルベール】須藤慎吾
【ソフィー】砂田愛梨
【大法官】伊藤貴之
【シュミット】村上公太
【ジョアン】駒田敏章
【ブリュールマン】水野 優
【ケッチェン】肥沼諒子
【合唱指揮】平野桂子
【合 唱】新国立劇場合唱団
【児童合唱】世田谷ジュニア合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
2016年新制作プロジェクトの再演。16年は4月13日の公演を観た。冒頭のクリスマスソングの練習シーンの舞台は前回よりシンプルになったようだが、それ以外は多分同じだろう。
全体的に落ち着いた雰囲気のクラシックな舞台で、アルベールの部屋の豪華な装飾のクラブサンや、壁一面を埋める本棚のあるウェルテルの部屋など、さりげなく気の利いた調度品を使って上流階級の品の良さを出し、同時に余計な物を省いて空間の広がりを感じさせる良質のステージだ。
歌手はウェルテル役のチャールズ・カストロノーヴォがやはり表現力豊かで、揺れ動く感情に左右される不安定な雰囲気を常に漂わせ、好演。
シャルロット役の脇園彩は、ウェルテルよりも大人で年上の落ち着いた雰囲気の女性を感じさせ、今までとはちょっと違うシャルロッテ像。特に第3幕での手紙の場での歌は圧倒的、また第4幕でのカストロノーヴォとの二重唱は両者とも細かい感情の動きをよく表現し、秀逸。この第4幕のシーン、個人的にはちょっと拗すぎると感じる場面ではあるが、美しく情緒的にまとめ上げ、聞き応えのあるいいシーンだった。
ソフィー役の砂田愛梨はよく通る声で、可憐な雰囲気の従来のソフィー像を聴かせてくれた。アルベール役の須藤慎吾も好演。
一方で第4幕直前のピストルの音がやや曖昧で、単なる舞台転換に伴うノイズか、と思ったほどで、このオペラの最も効果的な演出場面のひとつだったのにちょっと残念。
だが、今日の立役者は指揮者、アンドリー・ユルケヴィチ。2019年のエウゲニー・オネーギンで新国立劇場初登場し、この時の10月3日公演を観ているが、実はあまり記憶になかった。一幕の初めこそオーケストラにやや荒っぽさを感じさせたが、次第に響きが整い始め、メリハリのあるドラマティックな音楽作りで、この作品を単なる非恋物語に終わらせずにスケールの大きな人間ドラマとして表現。イタリアオペラとは一味違う男女愛の形を情感豊かに表現した優れた上演だった。
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