札幌交響楽団hitaruシリーズ定期演奏会第27回
2026年9月2日19:00 札幌文化芸術劇場 hitaru
指揮:エリアス・グランディ(指揮)
オーボエ:関 美矢子(首席奏者)
管弦楽:札幌交響楽団
吉松隆/朱鷺によせる哀歌
R. シュトラウス/オーボエ協奏曲
ドヴォルジャーク/交響曲第9番「新世界より」
「朱鷺への哀歌」は当日配布プログラムによると前回札響で演奏されたのが2007年(12月23日、指揮・井上道義、このときの演奏は聴いている)。今回はそれ以来の演奏だそうで、実に20年ぶりとなる。
弦楽器とピアノのための作品だが、今回久しぶりに聴いてみると、第2部から登場するピアノ(演奏:田島ゆみ)が存在感があり、とても良かった。響きが柔らかく、オーケストラとよく融和して、上質の響きを生み出していた。
このホールで聴いたピアノでは、ソロ・オケ中含め、それぞれ作品の質は異なるにせよ、今までで最もいい響き(聴いた席は1階18列の上手側)だと思う。弦楽器群はグランディらしくやや熱めのサウンドだったが、まとまりのある充実した響き。哀歌というタイトルから受けるイメージとはやや遠い感覚のようにも聴こえたが、オーケストラの自発的な表情とピアノの柔らかい音色による対話が印象に残る演奏だった。
オーボエ協奏曲は、何よりも関の好演が光る。息の長い、何処までが一つのフレーズなのかよくわからない旋律を、途切れることなく表情豊かに聴かせてくれた。オーケストラと見事に調和した心地良いピッチやお互いの呼吸もぴったり。ゲストソリストからは感じられない安定感があって、その一体感が素晴らしくかった。グランディも申し分ないサポートぶりだったが、それよりもメンバー同志の意志の疎通が土台にあったゆえの好演だったのではないか。
後半の新世界交響曲は引き締まった緊張感のあるいい演奏。名曲ゆえ、時折大雑把に全体像をまとめ上げ、それらしく聴かせる演奏も多いが、そこはさすがに首席指揮者のグランディ。細部まできちんと目を通した上で、全体的な構造をしっかりと固め、よく歌い込まれた充実した響きを引き出し、オーケストラもそれに見事に応えた好演。久しぶりに聞き応えのある新世界交響曲だった。
グランディ好みの対向配置で、時折いつも聞き慣れた響きと多少異なるところもあったが、各フレーズは綿密に仕上げられ、楽章ごとのコントラストが明確で分かりやすく、とてもクリアな演奏だった。
オーケストラの基本能力が前世紀の頃と比較すると飛躍的に向上しており、聴衆としてはうれしい限りだが、さらに贅沢を言わせてもらうと、第2楽章の有名な静寂な世界の楽章は、このオーケストラであればもっと緻密で奥深い表現を求めてもいいだろう。
コンサートマスターは会田莉凡。
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