2026/10/06


 札響名曲コンサート

~トランスクリプションの魔法

 2026年10月 4日14:00  札幌コンサートホールKitara大ホール



指揮 /下野 竜也<首席客演指揮者>

ヴィオラ /廣狩 亮<首席奏者>

管弦楽/札幌交響楽団


J.S.バッハ:幻想曲とフーガ(エルガー編、管弦楽版)

ブラームス:ヴィオラ・ソナタ第1番(ベリオ編、協奏曲版)

ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(ヘンリー・ウッド編、管弦楽版)



 エルガー編曲のバッハはプレトークで下野が語っていた通り、バッハを素材にしたエルガー自身の作品と言ってもいいほどの内容。

 原曲はオルガンソロだが、バッハのオリジナルを忠実に反映させた編曲ではなく、エルガーの巧妙な管弦楽法で彩られた音の世界を楽しむ作品だ。

 冒頭オーボエソロから始まるが、しばらく聴いていないと、原曲がバッハだとはわからないほどで、明晰さよりはロマンティックな色彩でコーティングした編曲だ。1922年初演当時のバッハの演奏解釈を如実に再現した作品とも言える。下野はそんなエルガーの意図を見事に反映させ、オーケストラの響きは良質で、全体的によくまとめあげられた演奏だった。


 ブラームスはオリジナルはピアノとのデュオ版。廣狩はソリスティックな派手さはないが、落ち着いた、語りかけるようなソロを聴かせてくれ好演。ただベリオの編曲が意外と地味で、ピアノパートの持つ冷徹な響きが比較的曖昧に表現されていて、多少居心地の良くないところもあったが、下野が全体をよく統括していた。


 ムソルグスキーは有名なラヴェル編曲版(1922年)より前の 1915年の編曲。下野のプレトークにもあったように、ラヴェルほどの華麗さはないが、このウッド編曲版の方が、ムソルグスキーの原曲のイメージをよく反映しているように思う。

 ラテン的な明るさを持つ華麗なラヴェル版に対して、ウッド版は憂鬱でほの暗い雰囲気を感じさせ、原曲のモノクロ的な世界観をしっかりと反映しているようだ。

 管楽器群が大活躍するのはラヴェル版と同じだが、ヴァイオリンソロ(チュイルリーの庭)があったり、最後の「キーウの大門」でオーケストラのトゥッティの後、突然オルガンソロがコラールのように主題を奏するなど、中々面白い発想が満載で、聴衆を楽しませるコツもよく心得ているようだ。ウッドはイギリスの有名なプロムスの創始者で、この編曲版の初演もプロムスで行われており、なるほど、と思わせる。

 オーケストラは今日は管楽器群が好調で、全体的にまとまりあるスケールの大きな響きがしていて、ウッド版展覧会が鮮やかに描かれており、存分に楽しむことができた。


 アンコールに弦楽器だけで、「J.S.バッハ(ストコフスキー編)/わがイエスよ、いかばかりの魂の苦しみ BWV487」。これはとても弦の音色が柔らかく綺麗で、このオーケストラならではの魅力ある演奏だった。

 コンサートマスターは田島高宏。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。