Kitaraのバースデイ
まずはここから公演
2024年7月6日11:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
オルガン/吉村 怜子
司会/北川 久仁子
ピアノ(ゲスト)/ウィリアム・フィールディング
(第24代札幌コンサートホール専属オルガニスト)
ヘンデル:水上の音楽より 第2曲 ホーンパイプ
サン=サーンス:動物の謝肉祭より 第7番 水族館
近藤 岳:「きらきら星」の主題による変奏曲
チャイコフスキー:バレエ音楽「くるみ割り人形」組曲 作品71aより
第8曲 花のワルツ(オルガン&ピアノ)
もっとじっくり公演
2024年7月6日 14:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
オルガン/ウィリアム・フィールディング
(第24代札幌コンサートホール専属オルガニスト)
J.S.バッハ/イゾワール編曲:カンタータ 「神よ、われら汝に感謝す」BWV29
より シンフォニア
フォーレ:ドリー組曲 作品56より
第1曲 子守歌、第2曲 ミ・ア・ウ、第6曲 スペインの踊り
ヴィドール:オルガン交響曲 第5番 ヘ短調 作品42-1より
第1楽章 アレグロ・ヴィヴァーチェ
ボエルマン:ゴシック風組曲 作品25より 第3曲 聖母への祈り
デュリュフレ:アランの名による前奏曲とフーガ 作品7
今年のKitaraのバースデイはオルガンコンサート。二本立てで、前半は0歳児から入場可能のいわゆる入門編、後半が本格的コンサートで、共に約45分のプログラムというコンパクトな内容。
前半はお話し付きで、オルガンは札幌コンサートホールのオルガンスクール出身者、吉村怜子。東京芸大とリヨン国立高等音楽院でオルガンを学び、卒業後は札幌を中心に演奏活動を行っている。この欄でも出演したコンサートをいくつか紹介している(代表的なコンサートでは、2022年1月22日 「オルガンミュージアムへようこそ」)。
ホール内は幼児の泣き声などでオルガンの音が充分聴こえてこなかったものの、演奏は音色がきれいで、作品の姿をきちんと伝えてくれる考え抜かれた冷静な演奏だ。今まで数多く聴いてきたこの世代の日本人オルガニストの中では、より優れた安定感とセンスの良さを誇る。地道に安定した演奏活動を行っており、今後により一層期待しよう。
ヘンデル、サン=サーンスは落ち着いた雰囲気があって好演。近藤の変奏曲はそれぞれの変奏ごとの性格を司会者が紹介しながらの演奏。子供だけではなく、大人にもわかりやすく、これは面白かった。
最後のチャイコフスキーではフィールディングがピアノで共演するなど、多彩なプログラムで楽しめた。アンコールは2人のオルガン連弾で、エルガーの威風堂々。
全体的によく設計された良質のプログラムだった。
後半のフィールディングは、今日はフランスの作曲家を中心に、色彩感ある演奏を聴かせてくれた。
冒頭のイゾワール編曲のバッハは、いつものフィールディングならもう少し快活に演奏するのだろうが、今日は比較的落ち着いた演奏。オルガンの機能を活かし、音色の対比等で多声部に聴こえるように編曲しているが、演奏しにくい箇所があるのだろうか、まとめるのに多少苦労していたように聴こえた。
その他ではフォーレが美しい音色で好演だったが、ボエルマンとデュリュフレがKitaraオルガンの魅力を存分に楽しませてくれた名演。これらの作品はやはりここのオルガンでなければ出せない洗練された音色があるようで、特にデュリュフレは、歴代専属オルガニストが何度も取り上げてきた名作だが、全体的な雰囲気のまとめ方では、とても見事な仕上がりだったとも言えよう。
アンコールに「Happy Birthday to You」による即興演奏を披露。即興の基本はフランス近代の作曲技法に基づくもので、今日のプログラムにふさわしい統一感があって、センスの良さを示してくれた。
オルガンの状態は良好。いい音色だった。
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