2024/07/11

 PMF2024 オープニング・ナイト 

2024年7月10日18:30  札幌コンサートホールKitara大ホール


バーンスタイン:「キャンディード」序曲
 エリアス・グランディ(指揮)
 PMFベルリン
 PMFオーケストラ
 
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 作品13 から
 
I. Adagio  Allegro vivace
 PMFウィーン
  ライナー・キュッヒル(ヴァイオリン I)
  ダニエル・フロシャウアー(ヴァイオリン II)
  ハインツ・コル(ヴィオラ)
  ペーテル・ソモダリ(チェロ)
 
ドヴォルザーク(シェーファー編):スラヴ舞曲集から
 作品72-2 ホ短調
 作品46-8 ト短調
 PMFベルリン
  アンドレアス・ブラウ(フルート)
  ジョナサン・ケリー(オーボエ)
  アレクサンダー・バーダー(クラリネット)
  シュテファン・シュヴァイゲルト(ファゴット)
  サラ・ウィリス(ホルン)
 
R. シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」作品20
 エリアス・グランディ(指揮)
 PMFウィーン
 PMFオーケストラ



エリアス・グランディ ©Shervin Lainez
 今年の注目は指揮のエリアス・グランディ。
来年から札幌交響楽団の首席指揮者に就任予定ということもあって期待がより高まる。

 冒頭のバーンスタインは、歯切れが良く早めのテンポで颯爽と、一気呵成にまとめ上げた快演。鮮やかな指揮ぶりで聴衆を沸かせた。

 オーケストラは生き生きとかつ伸びやかに演奏しており、おそらくアカデミー生はとても気持ち良く演奏でき、満足しているのではないだろうか。

 オーケストラとして練習を始めてまだ1週間にも満たないはずだが、若者の積極性と途方もないエネルギーを引き出し、この作品の魅力を見事に表現してくれた。この音楽祭の開幕にふさわしい抜群の仕上がりだった。


 最後のR. シュトラウスの交響詩「ドン・ファン」では、作品が持つ逞しいエネルギーと、一方で木管楽器のソロからは繊細で多彩な表情を引き出すなど、まるでオペラの一場面を観るような豊かな色彩感を創出。加えて弦楽器群の豊かでまろやかな表情、全体的に充実した響きと見事なテンポ感で、この作品のストーリー性を余すところなく伝えてくれた。オペラ指揮の豊かな経験が生かされた演奏だ。

 結成したばかりのオーケストラとは思えない充実した演奏で、まだ学生とはいえ、高い演奏能力を持つアカデミー生達のオーケストラを短期間でまとめ上げたグランディの才能に感心。

「ドン・ファン」ではライナー・キュッヒルがコンサートマスター。さすがにソロでは年齢を感じさせ、若者のエネルギーに負けそうなところもあったが熱演。


  グランディを聴くのは今回が3回目だが(初回はオペラ「カルメン」、2020年1月札幌文化芸術劇場、2回目は第649回札幌交響楽団定期演奏会、22年11月27日札幌コンサートホールKitara)、今日は今までとは違うレパートリーで好演を聴かせてくれ、以前よりその実力が向上しているようだ。

 来たる13日(苫小牧)、14日(札幌コンサートホール)のPMFオーケストラ演奏会が大いに楽しみだ。さらに今年は札響第665定期(11月30、12月1日)にも登場予定、今後の活躍が多いに期待される。

 これらのコンサートを聴いてみなければ明確にはわからないが、グランディは、ここ数年PMFに登場した指揮者の中では抜群の才能の持ち主のような気がする。


 今日はそのほかに、ウィーンフィルの弦楽器メンバーによるメンデルスゾーンとベルリンフィル管楽器メンバーによるドヴォルザーク。ともに名手達による卓越した演奏で、11日(ベルリン)、12日(ウィーン)に予定されているそれぞれのコンサート(ともに19:00、札幌コンサートホール大ホール)の予告編。さりげなく演奏しているようだが、やはり音楽性豊かな演奏。こちらも当日の演奏が楽しみだ。

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