2024/07/29

 PMFアメリカ演奏会

2024年7月25日19:00  札幌コンサートホールKitara小ホール


PMFアメリカ(北米のメジャー・オーケストラで活躍する首席奏者)
 ヌリット・バー・ジョセフ(ヴァイオリン、

              ワシントン・ナショナル交響楽団)
 スティーヴン・ローズ(ヴァイオリン、クリーブランド管弦楽団)
 ダニエル・フォスター(ヴィオラ、ワシントン・ナショナル交響楽団)
 ラファエル・フィゲロア(チェロ、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
 アレクサンダー・ハンナ(コントラバス、シカゴ交響楽団)
 デニス・ブリアコフ(フルート、ロサンゼルス・フィルハーモニック)
 ネイサン・ヒューズ(オーボエ、ミネソタ管弦楽団)
 アントン・リスト(クラリネット、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
 ダニエル・マツカワ(ファゴット、フィラデルフィア管弦楽団)
 アンドリュー・ベイン(ホルン、ロサンゼルス・フィルハーモニック)
 デイヴィッド・クラウス(トランペット、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
 デミアン・オースティン(トロンボーン、メトロポリタン歌劇場管弦楽団)
 ジョゼフ・ペレイラ(パーカッション、

           ロサンゼルス・フィルハーモニック)
 
PMFピアニスト 南部麻里(ピアノ)


プーランク:オーボエ、ファゴットとピアノのための三重奏曲 FP 43
       ネイサン・ヒューズ(オーボエ)、

       ダニエル・マツカワ(ファゴット)
       南部麻里(ピアノ)
 
エワイゼン:パストラーレ
       デイヴィッド・クラウス(トランペット)、

       デミアン・オースティン(トロンボーン)
       南部麻里(ピアノ)
 
シュルホフ:フルート、ヴィオラとコントラバスのための小協奏曲
       デニス・ブリアコフ(フルート)、

       ダニエル・フォスター(ヴィオラ)
       アレクサンダー・ハンナ(コントラバス)
 
シューマン:アダージョとアレグロ 作品70
       アンドリュー・ベイン(ホルン)、南部麻里(ピアノ)
 
J. ペレイラ:エキ・ドローミ
       デニス・ブリアコフ(フルート)、

       ジョゼフ・ペレイラ(パーカッション) 
 
ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 作品115
       アントン・リスト(クラリネット)

       ヌリット・バー・ジョセフ(ヴァイオリン)
       スティーヴン・ローズ(ヴァイオリン)
       ダニエル・フォスター(ヴィオラ)
       ラファエル・フィゲロア(チェロ)


 PMFアメリカ教授陣のお披露目演奏会。前半に登場したPMFヨーロッパ教授陣とは違って、ダイレクトに自己主張をするスケール感のある雰囲気を持つ奏者が多く、好対照で面白かった。

 プログラム全体では、後半のブラームスが良かった。今日のプログラムの中では群を抜いて作品の質が優れていることと、演奏の燃焼度、完成度が高く、とても聞き応えがあった。

 クラリネットのアントン・リストはPMF卒業生。透き通った美しい音色と正確で音楽的なピッチが印象的で、冷静に弦楽四重奏の響きの上に乗りながら、この作品特有の寂寥感ある雰囲気を表現し、存在感を示していた。

 弦楽四重奏グループは、臨時編成ゆえの荒さを感じさせたものの、華やかでスケール感ある厚みのある響きがする演奏。

 ハーモニーやピッチを整えるためにノン・ヴィブラートでちょっと調整するなどは想定外で、全てヴィブラートたっぷりの見事なモダン奏法。中では特に第一ヴァイオリンのヌリット・バー・ジョセフが張りのある力強い音色と濃いロマンティシズムで、アンサンブルリーダーの役割を見事に果たしていた。

 久しぶりに聴けた、タフで表現力豊かな充実したブラームスだった。


 前半では、プラハ出身の作曲家、ショルホフの作品が印象に残った。楽器の特徴を見事に生かし、テクニカルな要素と民族音楽を融合させ、格調高い芸術音楽として仕上げており、特にフルートのブリアコフが好演。


 ペレイラの「エキ・ドローミ」は、パーカッションを演奏したペレイラの自作自演。共演者にフルートのブリアコフが再登場し、フルートで表現可能なあらゆる演奏技法でトルコとアラブの民俗音楽を即興風に演奏。アラブの太鼓であるドゥンベックで多彩な表現を聴かせたペレイラとのアンサンブルが不思議な魅力を奏で、これはとても面白かった。演奏技術の高さゆえの魅力的な作品だった。


 その他では、プーランクでの緩徐楽章以降で優れた音楽性とテクニックを示したオーボエのヒューズとPMFの常連、ファゴットのマツカワが良質の演奏。


 エワイゼンのパストラーレは、トランペットとトロンボーンが、PMFヨーロッパが聴かせた弱音に焦点を絞ったソフトで物静かな演奏ではなく、昔風の華やかさがあるいつも聴き馴染んでいる管楽器の響き。小ホールで聞くには響きがやや大き過ぎたが、大らかさが感じられた演奏だった。こういう雰囲気を持つ作品なのだろう。


 シューマンでのホルンのアンドリュー・ベインはホストシティ演奏会で好演をお披露目済み。美しい音色でシューマンを奏でていたが、今日は音楽がすっきりとハマりきらないところがあって、やや不調だったようだ。

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