PMFベルリン演奏会
2024年7月11日19:00 札幌コンサートホールKitara大ホール
PMFベルリン(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団メンバー)
アンドレアス・ブラウ(フルート)*
ジョナサン・ケリー(オーボエ)
アレクサンダー・バーダー(クラリネット)
シュテファン・シュヴァイゲルト(ファゴット)
サラ・ウィリス(ホルン)
タマーシュ・ヴェレンツェイ(トランペット)
イェスパー・ブスク・ソレンセン(トロンボーン)
フランツ・シンドルベック(パーカッション)
佐久間晃子(ピアノ)
* 前ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者
ダンツィ:木管五重奏曲 ト短調 作品56
パーシケッティ:空ろな人間たち 作品25 [トランペット、ピアノ]
シューマン(ソレンセン編):ロマンス 作品28から第2曲
[トロンボーン、ピアノ]
タファネル:木管五重奏曲 ト短調
ラヴェル(M. ジョーンズ編):クープランの墓 [木管五重奏]
PréludeーMenuetーRigaudon
プレヴィン:ヴォカリーズ [トランペット、トロンボーン、ピアノ]
ドヴォルザーク(シェーファー編):スラヴ舞曲集から [木管五重奏]
作品72-2 ホ短調、作品46-8 ト短調
ベルリンフィルの管楽器メンバーによる木管五重奏とそれにトランペット、トロンボーン、パーカッションが加わっての演奏会。ファゴットとオーボエ奏者以外は昨年に引き続きの来札(昨年は7月14日に開催)。
今日は一番年配のフルートのアンドレアス・ブラウが素晴らしかった。美しい張りのある音色と優れたテクニックでアンサンブルをリードし、存在感抜群。
前半は木管五重奏の定番ダンティとタファネルの間に、トランペットとトロンボーンのソロを挟むプログラム。
木管五重奏ではややラフに流れるところもあったにせよ、特にタファネルの流麗な演奏が見事。各楽器のバランスは思慮深く考え抜いてはいるが、ごく自然にコントロールできていて音楽が澱みなく進行していく、という名手達ならではの快演。中でもオーボエのジョナサン・ケリーが生き生きとした表情で、また低音をなめらかな音色で支えリードしたファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの、共に今年初登場の2人が好演。
トランペットのヴェレンツェイが演奏したパーシケッティはアメリカ現代の作曲家。ちょっと暗い影のある雰囲気の作品を、柔らかくすっと抜ける伸びやかな音色で演奏。昨年も確か同国のローブの作品を取り上げており、彼はアメリカ近現代の作品が好みなのかもしれない。
トロンボーンのソレンセンは今年はシューマンのロマンス。昨年もシューマン(歌曲集「詩人の恋」から)の編曲を演奏しており、シューマンが好みのようだ。
オリジナルはピアノ曲だが、いかにもシューマンらしいロマンティックな旋律がピアニッシモにこだわり過ぎて作品の良さを伝えきれなかったようだ。それにしても、この弱音でのコントロールは実に見事。
後半、ラヴェルの「クープランの墓」からの3曲は、五重奏の一人ずつの活躍の場があり、また何よりも作品と編曲がしっかりとしていて、聞き応えがあった。おそらくオーケストラ版で何度も演奏しているのだろうが、この作品に限らず、彼らの演奏は手慣れたルーチンワークであっても、常に新鮮さが感じられるのが魅力だ。
プレヴィンのヴォカリーズは初めて聴く作品。オーケストラでは華やかな場面で活躍する楽器が、弱音器をつけほとんどピアニッシモで静かに瞑想するように歌い続けていく5分程度の作品で、これはおそらくかなりのコントロール力がなければ演奏できない作品だろう。トランペットのヴェレンツェイ、トロンボーンのソレンセンともに昨年に引き続きの来札だが、普段演奏する機会の少ない作品を取り上げるのが恒例のようで、それを楽しんでいるかのように思える。見事な演奏だった。
最後のドヴォルザークは10日のオープニング・ナイトでも披露していたが、今日はパーカッションが加わっての演奏。10日はぶっつけ本番のような雰囲気があったが、今日は全体的に音色も潤っていて、仕上がりは万全。フィナーレに相応しい名演だった。
配布プログラムは本日の演奏曲目一覧のみのシンプルなもの。おそらく直前までプログラムが決定しなかったのだろうが、パーシケッティ、プレヴィンは簡単な解説が欲しかった。
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