札幌交響楽団hitaruシリーズ定期演奏会第20回
2025年3月19日19:00 札幌文化芸術劇場hitaru
指揮 /川瀬 賢太郎
チェロ /宮田 大
管弦楽/札幌交響楽団
芥川 也寸志 トリプティーク(弦楽のための三楽章)
菅野 祐悟 チェロ協奏曲「十六夜」
シューマン 交響曲第3番「ライン」
今日は邦人作品が2曲。
芥川也寸志は1951年の作品。旧ソ連の個性的な作曲家たちの影響を受けているのは明確だが、陽性で生き生きとした感性があり、旧ソ連の重苦しい暗い影のようなものは一切ない。
冒頭での明快で颯爽としたリズム感あふれる楽想など、全体を快活に歯切れよく仕上げた川瀬の指揮ぶりが見事。弦楽器だけのアンサンブルで、第3楽章がやや不明瞭だったにせよ、少し厚めのなかなかいい響きだった。
菅野のチェロ協奏曲も芥川同様とてもわかりやすく、すっきりとした作品。
こちらは様々な楽器が登場するが、これだけ多くの楽器が登場するにも関わらず、それぞれがその個性を発揮しつつオーケストラ全体でまとまった響きとなるのが素晴らしい。特にピアノの存在感が抜群で、思わずハッとさせるようなフレーズを突然聴かせてくれたりと、楽器の用法が実に上手な作曲家だ。
音楽は、ここのシーンだと多くの人々はこういう音楽を聴きたいだろうな、という最大公約数の音楽を聴かせてくれる。それが嫌味にならずに適度バランスをとって表現していくところが、この作曲家の魅力なのだろう。抽象的で難解なところは一切なく、聴きやすく説得力のある音楽だ。
という印象を与えてくれた宮田のチェロと川瀬の指揮が良かった。作品そのものは独奏チェロ特有の何か特別な響きとか、技巧的に難しいなどの表現はさほど多くはない。宮田はそれよりはむしろ情緒豊かな作品の全体像をバランスよく表現してくれた。他のチェリストにはない、宮田でなければ表現できない、何か特別の感性がこの作品にはあるようだ。
川瀬は細部まで丁寧に仕上げており、かつそれぞれの楽器の個性的な響きを引き出し、チェロとの対話もとてもよかった。最終楽章は前の2楽章の完結編だとするとやや語り過ぎのような気がしたが、全体をしっかりまとめ上げた手腕は高く評価できる。
シューマンは冒頭の第一楽章から、川瀬が伸び伸びとしたスケール感ある音楽を表現、オーケストラをよく鳴らした明快な演奏。続く2つの楽章は楽曲の性格もあり起承転結がスッキリしないところがあったにせよ、最後の2つの楽章はしっかりとまとめ上げた充実した演奏。
ホルンはゲストプレイヤーで見事なソロを披露してくれ申し分ない。ただ、やはり常駐の団員ではないためか、ハーモニーやピッチ、音色が微妙にオーケストラに馴染んでおらず、やや違和感があったのは事実。彼が担当したソロはやはり常駐の団員に演奏して欲しい。
今日のシューマンはやや練習不足を感じさせ、管楽器群のコントロールが行き届いていない雰囲気はあったものの、全体的に若々しいエネルギーを感じさせる演奏。やはり若く元気な指揮者は気持ちがいい。次回にまた期待しよう。
コンサートマスターは会田莉凡。