札幌音楽家協議会・ハイメス 国際交流コンサート
REZONANCIA 共鳴
~ハンガリーからお迎えして~
2023年2月20日19:00 札幌市生涯学習総合センター ちえりあホール
共催/札幌音楽家協議会 NPO法人北海道国際音楽交流協会
特別協力/札幌コンサートホール
ピアノ/ガーボル・ファルカシュ
チェロ/ゲルゲイ・デヴィッチ
モーツアルト :ピアノと管楽のための五重奏曲 K.452
ピアノ/ガーボル・ファルカシュ
オーボエ/岡本 千里
クラリネット/大橋 真紀
ファゴット/石黒 玲
ホルン/上田 博美
メンデルスゾーン :ピアノ三重奏曲 第 1 番 ニ短調 Op.49
チェロ/ゲルゲイ・デヴィッチ
ヴァイオリン
第1楽章・第2 楽章 /長谷川 加奈
第3楽章・第4 楽章 /岩渕 晴子
ピアノ
第1楽章・第2 楽章 /平野 雅子
第3楽章・第4 楽章 /柴田 千賀子
ブラームス :ピアノ五重奏曲 ヘ短調 Op.34
ピアノ/ガーボル・ファルカシュ
第1ヴァイオリン/長岡 聡季
第2ヴァイオリン/山本 聖子
ヴィオラ/円山 真麗子
チェロ/髙橋 勇輝
2月22日から開催されるリスト音楽院セミナー(札幌コンサートホール主催)で来札しているハンガリーの音楽家2名と、札幌在住の音楽家が共演するコンサート。
ガーボル・ファルカシュはリスト音楽院のピアノ科主任教授で、演奏家としても華々しい活動を展開中だ。22日からのリスト音楽院セミナーで講師を務める予定で、セミナーには2020年から参加している。
一方のチェロのゲルゲイ・デヴィッチは札幌コンサートホールとリスト音楽院との交流事業の一つとして、ハンガリーの若手音楽家を紹介するシリーズの一環で今回来日し、今月18日にKitaraでリサイタルを開催している。まだ20代半ばだ。
リスト音楽院の教授のレッスンや現在学生の演奏を聴くことは、数多いハンガリー出身の名音楽家達が育った教育の背景、音楽解釈を知る手がかりともなり、とても興味深い。今回2人の演奏に共通しているのは、基本的な演奏テクニックが完成されていることはもちろんのこと、端正で誇張がなく、誠実な演奏で、かつ音楽語法、演奏技法が自然で、洗練性もあり、バランス感覚にとても優れていることだ。
ファルカシュの演奏は、室内楽奏者として技術的にも音楽的にも高い完成度に到達している、と言えるだろう。
モーツァルトはそれぞれの管楽器奏者とのバランスやフレーズの繋がりを考慮しながらの演奏で、全員の、息のあったアンサンブルは素晴らしい。全体的に、管楽器奏者の柔らかく、自然な息づかいの中で空間に広がっていく旋律と、そこから形成されるハーモニーが美しく、またそれぞれの管楽器のピッチもきれいで、ファルカシュと一体となった上質の音楽を聴くことができた。
一方、後半のブラームスでは、ファルカシュはこの作品の繊細さとスケールの大きさとの二元性を見事に表現し、技術的にも音楽的にも隙が一切なく、間違いなく彼が世界トップクラスの演奏家の一人であることを証明してくれた演奏だった。
弦楽セクションは、大健闘だったが、やはり臨時編成のカルテットでは手に負えない凄みのある作品なので、もっと時間をかけたリハーサルが必要だったのではないか。
メンデルスゾーンを弾いたゲルゲイ・デヴィッチは柔らかいボーイングと美しい音色、端正で豊かな音楽性が魅力的だ。18日のソロリサイタルは聴けなかったが、今日のメンデルスゾーンから想像するに、誇張のない、音楽のみを語る師のミクローシュ・ペレーニを彷彿とさせる才能を持っているようだ。
ピアニストとヴァイオリニストは第1・2楽章と第3・4楽章で替わる変則的な演奏だったが、ともに熱演。
ただ、デヴィッチの目指す音楽性とは多少の乖離があったようで、これもリハーサルの時間がもうすこしあると良かったのかもしれない。
ファルカシュのアンサンブルでは、ピアノの音量的なバランスがとても良く、うるさくない。絶対音量はメンデルスゾーンのピアニストより大きいはずだが、アンサンブルに溶け込んで見事なバランスで聞こえてくるのは,さすがだ。これは室内楽の基本的で重要な演奏法なので、これをテーマにレクチャーしてくれると面白いのかもしれない。
今日共演した札幌の音楽家達はともに札幌音楽家協議会
https://satsuonkyou.jp/とNPO法人北海道国際音楽交流協会(ハイメス)https://www.himes.jp/に所属する演奏家。札幌の音楽活動の中心となっている団体で、詳細はそれぞれのHPでご確認いただきたい。
札幌コンサートホール主催のリスト音楽院セミナーは22日から26日まで。詳細は同ホールのHP https://www.kitara-sapporo.or.jp/を参照のこと。
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