第 25 回 リスト音楽院セミナー
受講生コンサート
2023 年 2 月 26 日15:30 札幌コンサートホール Kitara小ホール
1.西田 梨乃
リスト:バッハの名による幻想曲とフーガ S.529
2.黒田 桃子
シューベルト=リスト:「冬の旅」 S.561 より 第7曲 菩提樹
3.松本愛絵里
プーランク:ナゼールの夜会 FP.84 より
前奏曲、第1変奏 分別の極み、第2変奏 手の上の心臓、
第3変奏 磊落と慎重と、フィナーレ
4.山本 健太郎(伴奏/中島幸治、第15回セミナー最優秀受講生)
ラフマニノフ:ピアノとチェロのためのソナタ ト短調 作品 19 より
第1楽章
5.渡辺 彩乃
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第 27 番 ホ短調 作品 90
6.土田 裕利
シューマン:ピアノ・ソナタ 第3番 ヘ短調 作品 14 より 第1楽章
7.小野寺 拓真 ワーグナー=リスト:歌劇「タンホイザー」より 序曲 S.442
8.古川 佳奈(第24回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)
シューマン:クライスレリアーナ 作品 16
セミナー締めくくりの受講生コンサート。各コースの教授からの推薦で出演者を決定し、コンサートで最優秀受講生を選抜。翌年のブダペスト・スプリング・フェスティヴァル2024への出演資格が授与される。
西田は高校生。音楽が生き生きと溌剌としていて、明確な自己主張があり、とても気持ちのいい演奏。今後の成長が楽しみだ。
黒田のシューベルト=リストは、よく歌い込まれていて、原曲のイメージを大切にしながら、リストが加えた即興的装飾を美しく表現していた好演。
松本のプーランクは、比較的このセミナーでは演奏される機会の少ない作品。会場の雰囲気が明るくなって、緊張感の多いこの演奏会に彩を添えるような、いい感覚の演奏だった。
山本は、このコンサート唯一のチェロ。美しい音色、きれいな音程、品のいい歌い方は師のペレーニを彷彿とさせ、とても印象に残る演奏だ。ピアノの中島がバランスの良い落ち着いた音楽を奏で、チェロと息のあったアンサンブルで、好演。
渡辺のベートーヴェンは細部まで音楽的に細やかに表現され、かつ全体的にとてもよくまとまっていた、高水準の演奏。
土田は高校生。シューマンの作品のスケール感に負けずに真摯に立ち向かった、たくましさを感じさせる見事な演奏で、将来が楽しみ。
小野寺も高校生だが,ワーグナー=リストの「タンホイザー」序曲を堂々と演奏。技術的にも音楽的にも高校生とは思えないスケール感があり、こちらも将来が大いに楽しみな逸材。
古川は昨年の最優秀受講生。これほど音楽的に、見事に完成されたクライスレリアーナは滅多に聴けないのでは。特に弱音で繊細に歌われた旋律の美しさは素晴らしい。フォルテよりも魅力的なピアニッシモの方が訴えかける力が強いことを示してくれた。受講生はこの演奏を大いに参考にすべきだ。なお、古川はブダペスト・スプリング・フェスティヴァル2023で、4月25日にリサイタルを開催予定。
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