札幌交響楽団第659回定期演奏会
2024年2月25日13:00 札幌コンサートホール Kitara大ホール
指揮 /藤岡 幸夫
チェロ /上野通明
管弦楽/札幌交響楽団
エルガー:夕べの歌
エルガー:チェロ協奏曲
2月24・25日に札幌コンサートホールKitaraで開催を予定しておりました『第659回定期演奏会』につきまして、指揮者 尾高忠明が肺炎と診断されたため演奏会に出演することができなくなりました。
そのため急遽、藤岡幸夫氏の指揮で、プログラム前半の、エルガー/夕べの歌、チェロ協奏曲の2曲のみを演奏いたします。(主催者発表)
今回は尾高得意のエルガーということで楽しみにしていたファンも多かったのではないだろうか。
急遽登場した藤岡は、「急な対応で充分な準備もかなわなかったため、演奏曲目は前半のみ」(当日配布プログラムに挟み込みのメッセージより)となり、異例の定期公演となった。
夕べの歌はエルガープログラムの冒頭にふさわしい素敵な作品。プログラムを見ると、札響での演奏歴は1回だけで、指揮はなんと藤岡幸夫。余計な感情を込めずに、あっさりとした演奏だった。
チェロ協奏曲を弾いた上野が素晴らしかった。技術的にはもちろん、音楽的にはこの作品の持つ寂寥感を過度に歌い込まずに、かつ抜群のリズム感で見事に表現し、実に均整感の取れた演奏を聴かせてくれた。
オーケストラは、すっきりとした抜けのいい響きでまとめ上げており、ソリストとの相性もとても良かったようだ。ともすれば野暮ったくなりがちな演奏が多い中、この作品の本来の姿を見せてくれたのではないだろうか。
ソリスト・アンコールにヴァイオリンの会田莉凡が加わって、ハルヴォルセンのヘンデルの主題によるパッサカリア。これは颯爽としたノリのいい演奏で、存分に聴衆を楽しませてくれた。
実際に聴いてみると、とてもいいプログラム構成で、前半だけでもエルガーの魅力をたっぷりと堪能できた素敵な演奏。こうなると、やはり後半の交響曲第2番を聴きたかったが、次回に期待しよう。
ちなみに交響曲第2番は札響では1回だけ、2002年3月の定期で尾高の指揮で演奏されている。未練がましいが、オーケストラの能力が当時とは比較にならないほど高くなっている現在、ぜひ聴きたかった作品だった。
コンサートマスターは会田莉凡。