オルガンウィンターコンサート
2024年2月10日15:30 札幌コンサートホールKitara大ホール
オルガン/ウィリアム・フィールディング
(第24代札幌コンサートホール専属オルガニスト)
フンパーディンク/フィールディング編曲:歌劇「ヘンゼルとグレーテル」
序曲
ヴィドール:オルガン交響曲 第5番 ヘ短調 作品42-1より
第2楽章 アレグロ・カンタービレ
フレイスン:わびしき真冬に
ドビュッシー:子供の領分より 第4曲 雪は踊る
チャイコフスキー/フィールディング編曲:組曲「くるみ割り人形」作品71a
より
Kitaraのオルガンを聴くのは久しぶり。音色、調律は安定していて、状態は良好のようだ。
今日のプログラムは冬の情景を描いた作品、あるいは冬に上演される作品を集めたもの。オリジナル曲はヴィドールとフレイスンだけで、あとは演奏者自身による編曲作品。この編曲がなかなか良かった。往々にして演奏者のテクニックを披露する場合が多いが、この人のそれは、作品に忠実であることと、Kitaraのオルガンが最もバランスよく響くように考慮されている。
レジストレーションの使い方がよく、派手すぎず、地味過ぎず、とこのオルガニストのと誠実な音楽作りと優れたバランス感覚が感じられた。
チャイコフスキーは、オリジナルの組曲版から「中国の踊り」と「アラビアの踊り」を除いた6曲で構成。様々な情景描写の表現、多彩な舞曲のリズム感覚は、このオルガニストの優れたセンスが感じられた好演。終曲の「花のワルツ」での原曲でのハープの歯切れ良い華麗なパッセージなどはさすがにオルガン編曲の限界を感じさせたが、レジストレーションで調整しながら上手にカバー。
全体的にスコアを深く読み込み、丁寧に仕上げた編曲で、管楽器や弦楽器のフレーズやオーケストラ全体の響きを、次はどのように表現するのだろうか、と期待しながら鑑賞することが出来た。
冒頭のフンパーディングは、オペラ劇中に出てくる多様なモティーフを都度ストップを変えながら表現してくれ、これはひょっとしてオーケストラ版を聴くよりもわかりやすかったかも知れない。
フレイスンの「わびしき真冬に」(2022)はホルストの旋律による5曲の小品集。作品としては聴きやすく、わかりやすい作風で、シンプルながらも気の利いたおしゃれな雰囲気も持っている。世界初演だそうだが、意外と楽しめた佳品だった。
そのほかにヴィドールとドビュッシー。両方とも落ち着いた雰囲気で静かな世界を表現。ドビュッシーはもう少し歯切れの良さが欲しかったが、レジストレーションを上手に活用して、雪の降る情景を見事に再現し、面白かった。
欲を言えば、もう少しオリジナルのオルガン作品が聴きたかったが、フィールディングがKitaraオルガンからいい音色を生み出し、久しぶりにKitaraオルガンの素晴らしい響きを堪能することが出来たコンサートだった。
今日は、そのほかにこのコンサート終了後にKitaraライトアップロビーコンサートがあり、フィールディングが今度はピアノを演奏する予定で、従ってアンコールは無し。その活躍ぶりを聴きたかったが、こちらは所用があり、残念ながら失礼した。
場内はほぼ満席。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。