ハンガリーの俊英たちⅣ
ジョンボル・ダーニエル・エセニ クラリネットリサイタル
2024年2月12日15:00 札幌コンサートホールKitara小ホール
クラリネット/ジョンボル・ダーニエル・エセニ
ピアノ/横山 瑠佳(第21回リスト音楽院セミナー最優秀受講生)
コヴァーチ:ゾルタン・コダーイへのオマージュ、
ブラームス:クラリネット・ソナタ 第1番 ヘ短調 作品120-1
バルトーク:シク地方の3つの民謡 BB 45b、
コヴァーチ:マヌエル・デ・ファリャへのオマージュ
バーンスタイン:クラリネット・ソナタ
ヴェイネル:ペレギ・ヴェルブンク 作品40
ウェーバー:協奏的大二重奏曲 変ホ長調 作品48
バルトーク:ハンガリーの風景より 第1曲 村の夕べ
プーランク:クラリネット・ソナタ FP184
ヴェイネル:2つの楽章
ハンガリーの俊英たちは今年で4回目、今回はクラリネット奏者。クラリネットだけのリサイタルは少なく、滅多にない貴重な機会だ。
クラリネット独特の深く歌い込まれた、弱音から最強音まで全くムラのない柔らかい音色、難なく吹いてしまう速いパッセージなど、音楽的にも、技術的にも、とてもバランス感覚に優れた演奏家で、これはやはりリスト音楽院ならではの教育の成果だろう。それにしてもこんなにタフなクラリネットを聴いたのは初めてだ。
伴奏者の横山瑠佳は終始クラリネットに寄り添った見事な伴奏で、スケールの大きい息の長いフレーズ感で表現するジョンボルに負けずに作品を共に作り上げて行き、安定した申し分ない演奏。
個々の作品では、珍しい無伴奏のコヴァーチェや、バルトークとヴェイネルのお国ものがやはり生き生きとした抜群のリズム感で聴かせてくれ、これは申し分なく見事。
プーランクは洒脱な雰囲気なども素敵で、これは今まで聴いてきたこの作品の演奏の中でも、完成度の高さでは出色の出来だ。
ウェーバーはもう少し諧謔さがあれば、とも思ったが、華やかさを感じさせた好演。
珍しいバーンスタインは1942年の若き頃の作品で、当時の色々な作曲家の影響が聴こえてきてはいたが、それに負けない強いオリジナリティが感じられ、多彩なバーンスタイン像を聴かせてくれた好演。
前半のブラームスはしなやかで陰影のある表現で、20歳とは思えない深みのある演奏だったが、欲を言えば、ピアノの音がまだ充分に場内に馴染んでおらず、前半よりは後半に演奏した方が、クラリネットの柔らかい響きと溶けあった、より充実した演奏になったのではないだろうか。
アンコールにブラームスのハンガリー舞曲第4番。
今週の15日にザ・ルーテルホールで札幌市内の音楽家との共演があるので、こちらも楽しみだ。
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