第26回リスト音楽院セミナー
特別レクチャー&公開レッスン
2024年2月24日10:30 札幌コンサートホールKitara小ホール
講師/バラージュ・レーティ(ピアノ、リスト音楽院教授)
通訳/谷本聡子(札幌大谷大学教授)
【特別レクチャーテーマ】テーマ/リスト晩年の顔
【公開レッスン】
受講生/川端 美乃里(北海道教育大学岩見沢校4年)
受講曲/リスト:2つの伝説 S.175より 第2曲
波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ
受講生/三上 慎太郎(札幌大谷大学2年)
受講曲/バルトーク:ピアノ・ソナタ Sz.80
晩年のリストの創作活動については多くの説があるのは周知の通りだが、特に、リストの生涯を書いたAlan Walkerの大著(全3巻)では第3巻をThe Final Yearとして1861年以降死の年1886年までを一括して扱っている。
レーティ教授は、これは期間が20年以上あり、一括してThe Final Yearと扱うには長すぎるので、1861年からのローマ定住以降をいくつかの時代に分けて考える方がよい、と話す。
続けて、リストはローマに定住してからは作風が変化し始め、次第に宗教色が強くなってくる。と同時に作風が内向的となり、晩年には調性から逸脱する作品も登場するようになった。また、例えば「エステ荘の噴水」(巡礼の年第3年)などに代表されるように、次世代(特に印象派)に与えた影響は大きかった。
ということを主旨に、様々な作品を演奏しながら紹介してくれた。紹介した作品リストを見ると、自ずとリストの晩年の姿が見えてくるようだ。
演奏曲目は下記のとおり。
クリスマス・ツリー S186/R71より
巡礼の年第3年 S163/R10より
われらの主イエス・キリストの変容の祝日に S188/R 74
聖ドロテア S187/R73
アヴェ・マリア S182/R67
夜想曲「夢のなかに」 S207/R87
4つの忘れられたワルツ S 215/R 37
メフィスト・ワルツ S696/R661
諦め S263/R187a/R 388
悲しみのゴンドラ S200/R81
リヒャルト・ワーグナーの墓に S202/R85
リヒャルト・ワーグナー ー ヴェネツィア S201/R82
暗い雲 S199/R78
葬送前奏曲と葬送行進曲 S206/R83-84
ハンガリー狂詩曲第17番 S244/R106
死のチャールダーシュ S224/R46
2つのチャールダーシュ S225/R45
後半の公開レッスンでは、もちろん2人の受講生ともによく演奏していたが、レーティ教授が、
「コンクールの審査で、色々な国のピアニストの演奏を聴く機会が多い。その中で、リストのいい演奏は聴く機会が多いが、バルトークはその強いオリジナリティのために、なかなかいい演奏を聴く機会が少ない。しかし、今日、ハンガリーから遠く離れたこの日本で、とてもいいバルトークを聴くことができたのはとてもうれしい。」
と語っていたのが印象的だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。